今回は米国株の中でもクアルコム(QCOM)に関するものとなっています。(https://www.qualcomm.com)
本記事はこのような疑問に答えます。
- クアルコムとはどのような企業か?
- クアルコムの将来性は?
- 取り扱っている証券会社や財務状況は?
- クアルコムの配当金は?
クアルコムとは?
クアルコムは通信技術やファブレスで半導体の設計、開発などを行っている企業です。
主に3つの事業があり、QCT事業やQTL事業、QSIといった事業を展開しています。
まず、QCT事業ではワイヤレス音声やデータ通信、ネットワークコンピューティング、GPSなどに使用する3Gや4G、5G及びRFFEなどの集積回路やシステムソフトウェアの開発を行っています。
主な製品としてはクアルコムHexagonプロセッサなどのCPUやクアルコムAdrenoなどのGPU、AIエンジン、モデムなどを一体化したSoCであるSnapdragonがあり、スマホやタブレットなど多くのAndroid端末に使用されています。
また、クアルコムRFFEコンポーネントを含み電波の送受信などに関わるRF製品やWi-Fi、Bluetooth、周波数変調用の集積回路とシステムソフトウェアに加えGPSやGLONASSなどの位置データやサービスをサポートする技術で構成されるワイヤレス接続製品などを提供。
一部のRFFEモジュールやRFフィルター製品を除き、QCT事業の製品はファブレスで生産されています。
一方でQTL事業ではライセンス付与や知的財産ポートフォリオの一部を使用できる権利の提供、QSIセグメントでは5GやAI、自動車などに関わる新しい分野への投資事業となっています。
またその他にもクラウドAI処理イニシアチブや政府向けの事業などを行っています。
2022年度においてAppleとSamsungからの収益がそれぞれ10%以上となっており、ライセンス料が主な収益となっています。
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競合企業
クアルコムの競合企業としてはワイヤレス機器に関連する半導体などを扱っているブロードコムやアナログチップ、マイクロコントローラーなどの半導体を提供しているテキサス・インスツルメンツがあります。
また、オランダを拠点にし、半導体を扱っているNXPセミコンダクターズやファブレスでGPUなどの半導体を開発しているエヌビディアなどが挙げられます。
- ブロードコム
- テキサス・インスツルメンツ
- NXPセミコンダクター
- エヌビディア
クアルコムの将来性
クアルコムの将来性としては期待できる部分はあると言えるでしょう。
まず、一つ目の理由としては5Gや4Gなどの移動通信規格に必要な標準必須特許を多く持っている点が挙げられます。
例えば、クアルコムは5Gや4Gなどの移動通信規格の策定に大きく貢献し、OFDMやMIMOといった技術を先駆的に開発、通信プロトコルや符号化方式に関する特許などを多く保有しています。
一方で通信機器を開発する他社は5Gや4G規格の端末を開発する際は多くの場合、標準規格化に成功しているクアルコムの特許を利用せざるおえず、クアルコムにライセンス料を支払わなければなりません。
実際にクアルコムのライセンス料は携帯電話1台につきスタンドアロンなら卸売価格の2.275%、マリ値モードの場合、3.25%となっています。
そのため、今後ますます発展が見込まれる4Gひいては5Gに関連する特許を多く持ち、これらに関連する機器を開発する企業の多くは利用せざるおえず、継続的なライセンス料を取れる収益形態となっている部分は強みだと言えるでしょう。
もう一つの理由としてはAIの拡大によるGPU需要の増加が挙げられます。
現在、生成系AIの興隆により大量の計算ができるGPUの需要が増加してきていますが、クアルコムもAdrenoと呼ばれるGPUを展開しています。
また、クアルコムのGPUは初期はスマホ向けに主に開発していましたが、近年ではPCや自動車向けなどの分野でも活用されており、AIや機械学習分野にも対応しています。
この点で現在AIの拡大により増加するGPU需要を取り込める可能性は高いと言えるのではないでしょうか。
これらの点を鑑みるとクアルコムの将来性としては期待できる部分はあると言えるのではないでしょうか。
クアルコムの今後に対する期待度
以下はクアルコムの今後に対する期待度を示したものです。
ちなみに期待度は高い順に5から1となっています。
ご自身が思うクアルコムの今後に対する期待度にぜひ投票してみてください。
財務状況
以下はクアルコムなどの財務状況などを示したものです。
営業利益
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上記はクアルコムの営業利益を示したものです。
営業利益は基本的に企業が本業で得た利益を示したものです。
クアルコムの場合、2020年以降、上昇傾向にあることが見て取れます。
EPS

上記はクアルコムのEPSを示したものです。
EPSは基本的に右肩上がりとなっているかが主な指標とされるものです。
クアルコムの場合、2021年以降やや減少していることが見て取れます。
営業利益率
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上記はクアルコムの営業利益率を示したものです。
営業利益率は10%〜15%以上が優良な企業の水準とされています。
クアルコムの場合、15%以上で推移していることが見て取れます。
自己資本比率
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上記はクアルコムの自己資本比率を示したものです。
自己資本比率は基本的に企業の安定性を示すもので30%以上が目安とされています。
クアルコムの場合、上昇傾向にあり、2022年では30%以上となっていることが見て取れます。
営業活動によるCF
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上記はクアルコムの営業活動によるCFを示したものです。
営業活動によるCFは基本的に企業の手元現金の推移を示したものです。
クアルコムの場合、やや増加傾向にあることが見て取れます。
配当性向
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上記はクアルコムの配当性向を示したものです。
クアルコムの場合、2019年以降減少傾向にあることが見て取れます。
事業別収益
以下はクアルコムの事業別収益を示したものです。
収益(百万$) | 2022 | 2021 |
設備とサービス | 37171 | 26741 |
ライセンス | 7029 | 6825 |
合計 | 44200 | 33566 |
配当金
以下はクアルコムの直近10年の年間の配当金推移を示したものです。
西暦 | 配当金 |
2022 | 2.93$ |
2021 | 2.69$ |
2020 | 2.57$ |
2019 | 2.48$ |
2018 | 2.43$ |
2017 | 2.24$ |
2016 | 2.07$ |
2015 | 1.86$ |
2014 | 1.61$ |
2013 | 1.3$ |
コメント・考察
クアルコムの4Gや5Gに関連する特許を多く持ち、それに対して他者が端末の販売ごとにライセンス料を支払わなければならない部分はクアルコムにとって継続的かつ非常に安定した収益源だと言えるでしょう。
ただし、このライセンス料に関しては不当に高いなどとして独占禁止法や反トラスト法などに違反しているのではないかという声も上がっており、実際に米国やEUなどの規制当局から是正命令などを受けた経緯もあります。
また、実際に顧客の1つであるAppleがライセンス料に不満を持ち提訴したといった事態も過去に起きています。
以後Appleとクアルコムは和解をしているようですが、Appleは自社で無線モデムチップを開発するなどの動きを見せており、依然として高いライセンス料に不満を持ち、依存形態から脱却しようとしている兆候が見られます。
この点で収益の10%を占めるAppleの独自開発やライセンス料の引き下げ圧力などは気になる点だと言えるでしょう。
クアルコムはどこで買える?
以下は米国株を取り扱っている主な日本の証券会社のなかでクアルコムの取り扱い有無を示したものです。
証券会社 | 取扱有無 |
楽天 | 有 |
SBI | 有 |
マネックス | 有 |
DMM | 有 |
松井 | 有 |
PayPay | 有 |
野村 | 有 |
大和 | 有 |
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