本記事は米国株の中でもダウ(DOW)に関する内容となっています。(https://corporate.dow.com/en-us)
本記事はこのように疑問に答えます
- ダウとはどのような企業か?
- ダウの将来性は?
- 財務状況や取り扱っている証券会社は?
- ダウの配当金は?
ダウとは?
ダウは31カ国、104の製造拠点を運営し、化学素材を中心に扱っている企業です。
ちなみにダウデュポンがダウ、デュポン、コルテバの3つに分離した中でそのうちの素材科学事業が現在のダウとなっています。
主な事業としては包装及び特殊プラスチックや産業用中間体とインフラ、機能材料とコーティング事業があります。
まず、包装及び特殊プラスチック事業ではエチレンやプロピレン、ベンゼン、ブタジエン、オクテンなど石油化学製品の原料となる炭化水素を生産する事業とポリオレフィンエラストマーやエチレンプロピレンジエンゴムなどを生産する事業が含まれています。
特にポリオレフィンエラストマーはワーヤーやケーブルなどの絶縁体部分や接着剤、医療関連製品などに使用され、エチレンプロピレジエンゴムは建築用や自動車用のゴム製品などに使用されています。
下記は包装及び特殊プラスチック事業内での事業別、地域別の割合を示したものです。
出典:Dow Inc Annual Report 2021
次に産業用中間体とインフラ事業では洗浄剤などに使用されるキレート剤やブチルグリコールエーテル、除氷液などを生産する工業ソリューションや酸化プロピレン、プロピレングリコールや塩素、苛性ソーダなどを生産するポリウレタン、建築用化学品が含まれます。
下記は産業用中間体とインフラ事業内での事業別、地域別の割合を示したものです。
出典:Dow Inc Annual Report 2021
機能材料とコーティング事業では主に2つのコーティングスとパフォーマンスモノマー事業とコンシュマーソリューションズ事業で構成されています。
コーティングスとパフォーマンスモノマー事業ではレオロジー調整剤や酢酸ビニルモノマーなどといった塗料やコーティングの性能向上に役立つ添加剤を扱っています。
一方でコンシュマーソリューションズではシリコーンエラストマーやシーラント、界面活性剤などといったいようなシリコーンや特殊材料などを扱っています。
下記は機能材料とコーティング事業内での事業別、地域別の割合を示したものです。
出典:Dow Inc Annual Report 2021
また、2021年の売上高の全体として米国、カナダが36%と大きな割合を占めています。
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競合企業
ダウの競合企業としては、石油や天然ガスの生産に加えて、石油化学製品も扱うシェブロンやシノペック、エクソンモービルが挙げられます。
また、ドイツを拠点に化学製品を扱うBASFや中間体やコーティング剤など化学製品を扱うアルケマがあります。
その他にもモメンティブやエルケム、セラニーズといった企業が競合として挙げられます。
- シェブロン
- シノペック
- エクソンモービル
- BASF
- アルケマ
- モメンティブ
- エルケム
- セラニーズ
ダウの将来性
ダウの将来性としてはあると言えるのではないでしょうか。
理由としてはまず、生活に欠かせない製品が多い点です。
ダウの収益で一番多い事業は包装及び特殊プラスチックです。
確かにダウはプラスチックと聞かれて一般的に想像するような食品の包装などのプラスチック、ある種海洋汚染などから批判され、削減されていく可能性の高いプラスチックなども生産しています。
しかし、このような一般的に想像されるプラスチックだけでなく半導体や医療器具、自動車用やケーブルの絶縁部分であったりと様々な用途で使用されるプラスチックをも製造しています。
この点で食品の包装などのプラスチックなど削減傾向は続いたとしても、工業、医療など生活に欠かせないようなプラスチックも多く、完全に使用が無くなるということは考えづらいでしょう。
また、ダウは化学製品のリサイクルへの投資を進めている点です。
例えば、ダウは循環型プラスチックの生産を拡大するために、FuenixsEcogyGroupと約2万トンの廃棄プラスチックを熱分解油原料に処理する工場の新設やオランダでも廃棄プラスチックの処理施設の追加など他にも多くのリサイクル施設への投資を進めています。
確かに新設などには多額の費用がかかりますが、廃棄プラスチックを原料に再利用が進めば、石油や天然ガスなどの原料の節約に繋がります。
そうなれば、価格が不安定で価格が高騰するとコストが増す石油市場からの依存を下げることができるかと思われます。
このような理由を踏まえるとダウの今後としては期待できる部分はあるのではないでしょうか。
財務状況
以下はダウの財務状況などを示したものとなっています。
営業利益
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上記はダウの営業利益を示したものとなっています。
営業利益は基本的に企業が本業でどれくらい利益を得たのかを示すものです。
ダウの場合、2018年から2020年では大きく減少傾向にあったものの、2021年には一転して大きく増加していることが見て取れます。
EPS

上記はダウのEPSを示したものです。
EPSは基本的に右肩上がりとなっているかが主な指標となるものです。
ダウの場合、右肩上がりとはなっていませんが、2021年には一転して大きく増加していることが見て取れます。
営業利益率
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上記はダウの営業利益率を示したものです。
営業利益率は基本的に10%〜15%以上が優良な企業の水準とされています。
ダウの場合、2018年は10%を超えていたもののその後2019、2020年は一桁台に、しかしその後2021年では再び10%を超える水準まで持ち直していることが見て取れます。
自己資本比率
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上記はダウの自己資本比率を示したものとなっています。
自己資本比率は基本的に企業の安定性の指標となるもので30%以上がおおよその目安とされています。
ダウの場合、2018年は30%以上であるものの、その後は下落傾向となり、2021年には持ち直してはいるものの、30%は下回っている状態となっています。
営業活動によるCF
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上記はダウの営業活動によるCFを示したものです。
営業活動によるCFは基本的に企業の手元現金の推移を示すものです。
ダウの場合、全体として増加傾向にあり評価できる水準かと思われます。
配当性向
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上記はダウの配当性向を示したものです。
ダウの場合、2020年は100%を超える値とかなり高い水準にまで上昇していましたが、その後、配当金額は変わっていませんが30%前後と配当性向自体は高すぎない水準にまで下落しています。
事業別収益
売上高(百万$) | 2021 | 2020 | 2019 |
包装、特殊プラスチック | 28128 | 18301 | 20245 |
産業中間体とインフラ | 16851 | 12021 | 13440 |
機能材料とコーティング | 9672 | 7951 | 8923 |
コーポレート | 317 | 269 | 343 |
合計 | 54968 | 38542 | 42951 |
上記はダウの事業別の売上高を示したものです。
売上高の中でも特に包装、特殊プラスチック事業が一番大きな割合を占めていることが見て取れます。
配当金
以下はダウの配当金の推移を示したものです。
ちなみに以下の配当金の推移はダウ・デュポンからの会社分割後の配当金の推移となっています。
西暦 | 配当金 |
2021 | 2.8$ |
2020 | 2.8$ |
2019 | 2.1$ |
コメント・考察
ダウは現状5%前後と高い利回りとなっていますが、まだ会社分割をしたばかりでこの高利回りが続くかどうかは不透明な部分があるかと思われます。
しかし、全体として経済が停滞した2020年を除くと2021年は30%と低く配当性向は抑えられています。
加えて、営業活動によるCFも順調に増加していることも考えれば、よく高利回りの企業でありがちな無理して配当を出しているといった様子ではなさそうです。
また、よく高配当銘柄として挙げられる石油関連企業は基本的に原油価格の暴騰時に恩恵を得られやすいですが、ダウは原油を原料とするため石油価格が暴騰するとむしろコストが増加しますが、石油価格が下落する時は恩恵を得られる可能性が高いです。
その点で、ダウは石油関連企業のヘッジ銘柄としては同じく高配当銘柄でもあり相性の良い銘柄と言えるのではないでしょうか。
取り扱っている証券会社
以下は米国株を取り扱っている主な日本の証券会社のなかでダウの取り扱いの有無を示したものです。
証券会社 | 楽天 | sbi | マネックス | DMM | 松井 | PayPay | 大和 | 野村 |
取扱有無 | 有 | 有 | 有 | 有 | 有 | 有 | 有 | 有 |
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