本記事は米国株のなかでもアルコア(AA)に関する内容となっています。
本記事ではこのような疑問に答えます
- アルコアはどのような事業を行っている企業か?
- アルコアの配当や財務状況は?
- 取り扱っている証券会社は?
- アルコアの将来性は?
アルコア (AA)
アルコア(AA)は主にアルミニウム製品を取り扱っている企業です。
主な事業は3事業あり、ボーキサイト、アルミナ、アルミニウム事業に分かれています。
まず、ボーキサイト事業ではアルミニウムを生成する前段階のアルミナの原料となるボーキサイトの採掘事業を行っています。
この事業で採掘したボーキサイトのほとんどはアルコアのアルミナ、アルミニウムの加工に使用されていますが、一部のボーキサイトは他の企業などに売却されています。
アルコアのアルミニウム生産の原料となるボーキサイトは主にアルコアの運営する鉱山で生産され、2021年ではアルコアのボーキサイトの生産の85.9%を占めています。
残りはアルコアとパートナーシップを結んで運営されている鉱山からの産出となっています。
次にアルミナ事業では、採掘したボーキサイトをアルミナに精錬する事業を行っています。
主にアルミナを製造している地域はオーストラリア、スペイン、ブラジルなどとなっておりアルコアのアルミナの精製施設がその地域で運営されています。
3つ目のアルミニウム事業はアルミナにしたものをアルミニウムに精錬していく事業です。
主にアルミニウムのインゴットやビレット、スラブに精製されます。
出典:一般社団法人 日本アルミニウム協会
上記は主にアルコアの主な3つの事業のようにボーキサイトからアルミナ、アルミニウムへの製錬工程を示したものとなっています。
また、アルコアのアルミニウム製造施設は主にアメリカ、スペイン、アイスランド、ノルウェー、カナダ、オーストラリアに位置しています。
加えて、アルミニウムの生産には膨大な電力が必要となるため、アルコアは発電施設を運営しています。
主にブラジル、カナダ、アメリカで発電施設を運営していて、アメリカでは火力発電、それ以外では全て水力発電となっています。
その他の地域のアルミナやアルミニウムの生産施設では外部の発電事業者の電気を使用しています。
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競合企業
アルコアの競合企業としては、35カ国に展開し、銅や鉄鉱石そしてボーキサイトの採掘、アルミニウムの精製などを行うリオティント。
オーストラリアや南米、南アフリカを中心にボーキサイトの採掘、アルミナやアルミニウムの生産、マンガンや銀、亜鉛などさまざまな金属の生産を行っているSouth32が挙げられます。
また、金属のリサイクル事業やアルミニウムなどの金属を販売しているグレンコア、米国で3つのアルミニウムの製錬所を運営しているセンチュリー・アルミニウム。
その他にはノルウェーに拠点を置き、再生可能エネルギーや金属リサイクル、アルミニウム生産事業を行うノルスク・ハイドロ、中国を拠点に置き、アルミニウムの生産を行うアルミニウム・コーポレーション・オブ・チャイナが挙げられます。
- リオティント
- South32
- グレンコア
- センチュリー・アルミニウム
- ノルスク・ハイドロ
- アルミニウム・コーポレーション・オブ・チャイナ
アルコアの将来性
アルコアの主要な製品であるアルミニウムは、現状では自動車産業での需要が強いとされています。
また、今後は自動車産業のなかでもヨーロッパなどのガソリン車規制などで特にEV化が進むとアルミニウムの需要はさらに高くなると見込まれています。
EV化でアルミニウムの需要が高くなる理由としては、ガソリン車と比べて電気自動車は使用されるリチウムバッテリーは容量の問題があり、走行距離が短くなるなど問題があります。
そのため、従来のガソリン車は主に鉄鋼で作られていますが、電気自動車ではより軽量化するためにアルミニウムが注目されているからです。
また、リチウムイオン電池にはアルミニウム箔が必須であることや依然として課題は残るものの新たな電池と期待されている空気アルミニウム電池などアルミニウムの需要自体は今後も高いと思われます。
出典:2030年を見据えた非鉄金属産業戦略の概要(経済産業省)
ただし、上記のグラフでも分かるように中国での生産割合が年々増え、アルミニウムへの市場価格への影響力が強くなってきています。
そのため、仮に過剰生産などでアルミニウム価格が大きく下がるとアルコアの収益にも大きな影響がある点は避けられないかと思われます。
財務状況
以下はアルコアの財務状況を示したものとなっています。
営業利益
上記はアルコアの営業利益を示したものとなっています。
営業利益は基本的に本業でどれくらいの利益を得ているのかを示すものとなっています。
アルコアの場合、2018年から2019年にかけて大幅に減少していますが、その後2021年には2019年の値まで回復していることが見て取れます。
EPS
上記はアルコアのEPSを示したものとなっています。
EPSは基本的に右肩上がりとなっているかが主な指標となります。
アルコアの場合、2019年、2020年は一時的にマイナスとなっていますが、2017年から全体としてみると上昇傾向にあることが分かります。
営業利益率
上記はアルコアの営業利益率を示したものとなっています。
営業利益率は基本的に10%〜15%以上が優良とされる水準となっています。
アルコアの場合2018年以降、2019年、2020年は10%を下回りましたが、2021年には再び15%以上の水準にまで戻しています。
自己資本比率
上記はアルコアの自己資本比率を示したものとなっています。
自己資本比率は基本的に30%以上が目安となる水準です。
アルコアでは営業利益など他の数値も落ち込んだ2019年、2020年は30%を割る水準となっていますが、2021年には再び目安となる30%台までは戻せています。
営業活動によるCF
上記はアルコアの営業活動によるCFを示したものとなっています。
営業活動によるCFは主に企業の手元現金の推移を示したものとなっています。
2019年、2021年は特に大きく増加していますが、そのなかでも2021年は特に大きく増加していることが見て取れます。
配当性向
上記はアルコアの配当性向を示したものとなっています。
配当性向は主に配当としてどれくらい還元しているかを示すものとなっています。
アルコアの場合は2021年から配当が出されているため、このような表となっていますが、配当性向はかなり低めのものとなっています。
事業別収益
売上高 | 2021 | 2020 |
ボーキサイト | 236 | 272 |
アルミナ | 3139 | 2627 |
アルミニウム | 8766 | 6365 |
その他 | 11 | 22 |
合計 | 12152 | 9286 |
上記はアルコアの事業別の売上高を示したものとなっています。
ボーキサイトの売上は減少していますが、アルミナ、アルミニウム事業の売上は大きく上昇、全体の売り上げも大きく上昇していることが見て取れます。
配当金推移
以下はアルコアの年間の配当金の推移を示したものとなっています。
アルコアの場合、配当金は2021年からとなっています。
西暦 | 配当金 |
2021 | 0.1$ |
コメント・考察
金属を扱う他の企業は銅や鉄鋼、レアメタルなどと組み合わせて事業を行っていることが多いですが、アルコアはアルミニウムに特化した企業となっています。
これに関してはアルミニウムの事業に専念できるという経営の効率化にはメリットがあるとは思いますが、それ以上にアルミニウムの需要や価格に完全に左右されるというデメリットの方が正直大きいかと思われます。
アルミニウムの需要はEV化などもあり、今後も底堅く続くと思われますが、やはりアルミニウム関連のみの経営はやや不安感があります。
また、アルミニウムには大量の電気が必要となり、電気代の高騰などでコスト増なども気になります。
しかし、その点はアルコアは独自の発電所しかも多くは安定供給がしやすい水力発電所を運営している点においては電力面のコストを抑えられ、メリットなのではないでしょうか。
取り扱っている証券会社
以下は米国株を取り扱っている主な日本の証券の中でアルコアの取り扱いの有無を示したものとなっています。
アルコアに関してはPayPay以外は全ての証券会社で取り扱いがあることが分かります。
証券会社 | 楽天 | SBI | マネックス | PayPay | DMM | 松井 | 野村 | 大和 |
取り扱い有無 | 有 | 有 | 有 | 無 | 有 | 有 | 有 | 有 |
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