本記事は米国株の中でもネクステラ・エナジー(NEE)に関する記事となっています。(https://www.nexteraenergy.com)
本記事はこのような疑問に答えます
- ネクステラ・エナジーとはどのような企業か?
- ネクステラ・エナジーの将来性は?
- 財務状況や取り扱っている証券会社は?
- ネクステラ・エナジーの配当金は?
ネクステラ・エナジーとは?
ネクステラ・エナジーは北米で発電や電力インフラの開発、電力供給などを行なっている電力会社です。
ネクステラ・エナジーには主に2事業が存在し、FPL事業とNEECH事業に分かれています。
ちなみに下記はネクステラ・エナジーの全体的な事業構造を示したものです。
出典:NextEra Energy Annual Report 2021
まず、主な2事業のうちFPL事業では主に米国のフロリダ州で最大の電力事業を行っています。
この事業では送電、配電施設を運営し、主に天然ガスと原子力で発電、2021年時点ではそれぞれ純発電量が天然ガスで70%、原子力で22%の発電し、フロリダの1100万人以上に電力を供給しています。
また、フロリダにおいて天然ガスのパイプラインで一般住宅や商業の11万7000の顧客にガスの小売事業を展開しています。
一方でNEECH事業ではその傘下にあるネクステラエナジーリソーシズとNEETを合わせて主に米国の38の州とカナダの4つの州で再生可能エネルギー事業を主に展開しています。
出典:NextEra Energy Annual Report 2021
ちなみに上記はネクステラエナジーリソーシズとNEETを合わせた米国とカナダでの発電施設や送電施設、ガスのパイプラインを示したものとなっています。
また、2021年の種類別の発電量では風力が一番大きく66%、二番目に原子力で23%、三番目は太陽光発電で8%となっています。
a
競合企業
ネクステラ・エナジーの競合企業としては米国で900万人の顧客を有し、天然ガスの供給や電力の供給を行うサザン・カンパーニー。
また、天然ガスなどの火力や原子力に加え、水力や太陽光、風力などの再生可能エネルギーなど発電所を運営し、電力を供給しているアメリカン・エレクトリック・パワーや米国の13の州で天然ガスや電力事業を展開するドミニオン・エナジー。
他にもデュークエナジーやエバーソース・エナジーといった企業が挙げられます。
- サザン・カンパニー
- アメリカン・エレクトリック・パワー
- ドミニオン・エナジー
- デュークエナジー
- エバーソース・エナジー
ネクステラ・エナジーの将来性
ネクステラ・エナジーは他の米国内の電力会社などよりも早くから風力や太陽光などの再生可能エネルギー発電を展開し、アメリカの多くの州やカナダの一部で電力事業を行うNEECH事業では風力の発電量が半数を超えるまでに至っています。
出典:資源エネルギー庁ウェブサイト
アメリカの全体の発電量としては依然として天然ガスや石炭などの火力発電が多く、アメリカの全体の発電量と比べてもネクステラ・エナジーは再生可能エネルギーの割合が多いことが分かります。
一方で炭素排出などの観点からの社会的な批判や制度的な施策から既存の火力発電に頼る電力会社は発電源の転換を迫られる可能性がありますが、ネクステラ・エナジーはもうすでに再生可能エネルギーの大幅に導入が進んでいる点で利点です。
また、火力発電に必要とされる天然ガスや石油などは政学的な要因で暴騰し、コストがかさむ場合がありますが、その点ネクステラ・エナジーは既存の火力発電の多い電力会社よりも影響を受けにくい点で優位な点があります。
加えて、ネクステラ・エナジーの発電の中心となっている再生可能エネルギーは風力発電であり、もちろん地形や風が吹かなければ意味がないといったデメリットは存在します。
しかしながら、太陽光発電と違い夜でも発電ができる点や発電効率が太陽光発電よりも良いという点でメリットがあり、場所の制約がある風力発電を他の電力会社に先んじて確保できた点でネクステラ・エナジーに優位な点があると言えそうです。
一方でネクステラ・エナジーは原子力発電所も運営しており、事故などのによるリスクがある点。
また、収益的にはやはり天然ガスを発電の中心とし、主にフロリダ州で展開するFPL事業の方が再生可能エネルギーを展開する事業よりも多い点がやや気になる点かと思われます。
財務状況
以下はネクステラ・エナジーの財務状況などを示したものとなっています。
営業利益
上記はネクステラ・エナジーの営業利益を示したものとなっています。
営業利益は基本的に企業が本業でどれくらい利益を得たのか示すものです。
ネクステラ・エナジーの場合、2019年をピークに減少しており2021年では約半分と大きく減少していることが見て取れます。
EPS
上記はネクステラ・エナジーのEPSを示したものとなっています。
EPSは基本的に右肩上がりとなっているかが主な指標とされます。
ネクステラ・エナジーの場合、右肩上がりではなく、全体として右肩下がりとなっていることがわかります。
営業利益率
上記はネクステラ・エナジーの営業利益率を示したものとなっています。
営業利益率はおおよそ10%〜15%以上が優良な企業の水準とされています。
ネクステラ・エナジーの場合、20201年は大きく低下していますが、全体としては15%以上を維持していることが見て取れます。
自己資本比率
上記はネクステラ・エナジーの自己資本比率を示したものとなっています。
自己資本比率は基本的に企業の安定性を示すものでおおよそ30%以上が目安とされています。
ネクステラ・エナジーの場合、2019年までは30%を超えていましたが、徐々に下落し2020年、2021年では30%を割る水準まで下がっています。
営業活動によるCF
上記はネクステラ・エナジーの営業活動によるCFを示したものです。
営業活動によるCFは基本的に企業の手元現金の推移を示すものです。
ネクステラ・エナジーの場合、2018年から2019年にかけては大きく上昇し、その後は若干の減少傾向にあります。
配当性向
上記はネクステラ・エナジーの配当性向を示したものとなっています。
2014年から上昇傾向にあり、2017年からは基本的に100%を超える水準が続いていましたが、その後2021年では大きく配当性向は減少していることが見て取れます。
事業別収益
下記はネクステラ・エナジーの主な事業別の営業収益を示したものとなっています。
ちなみにガルフパワーはFPLに合併した事業、NEERはネクステラ・エナジー・リソーシズとNEETの事業となっています。
天然ガスを中心に発電し、フロリダ州で主に展開するFPLでの収益が再生可能エネルギーを展開するNEERよりも全体を通しておおよそ倍以上大きいことが見て取れます。
営業収益(百万$) | 2021 | 2020 | 2019 |
FPL | 12600 | 11662 | 12192 |
ガルフパワー | 1503 | 1398 | 1487 |
NEER | 3053 | 5046 | 5639 |
配当金推移
以下はネクステラ・エナジーの直近10年の年間配当の推移を示したものとなっています。
西暦 | 配当金 |
2021 | 1.54$ |
2020 | 4.55$ |
2019 | 5$ |
2018 | 4.44$ |
2017 | 3.93$ |
2016 | 3.48$ |
2015 | 3.08$ |
2014 | 2.9$ |
2013 | 2.64$ |
2012 | 2.4$ |
コメント・考察
ネクステラ・エナジーは再生可能エネルギーを中心に展開し、2021年の年次報告書によるとS&P500を大きく上回るパフォーマンスを発揮しています。
公益事業セクター銘柄は一般的に上昇幅は緩やかなことが多いため、このネクステラ・エナジーの株価の伸びは驚異的な部分があるのではないでしょうか。
一方で、再生可能エネルギーは政策的な観点から支援が得られやすい点やコストが下がってきているなど今後もネクステラ・エナジーにとって追い風が続くのではないかと思われます。
他方で、財務状況に関しては営業利益が2021年では大幅に下がったり、EPSは下落傾向、自己資本比率は特段として大きな自社株買いを行っていないにもかかわらず、減少傾向にあるなど懸念点が多い印象です。
EPSに関しては確かに株式分割の影響を受け、ネクステラ・エナジーも2020年に1株を4株にする株式分割をしているため確かにその影響もありますがそれ以前から減少しており、株式分割以外の根本的な原因、利益の減少が考えられます。
全体としてネクステラ・エナジーは事業自体は社会的な潮流からも将来性の高さが窺えますが、財務には不安が残る部分が多いといったところでしょうか。
取り扱っている証券会社
以下は米国株を取り扱っている主な日本の証券会社のなかでネクステラ・エナジーの取り扱い有無を示したものとなっています。
証券会社 | 楽天 | sbi | マネックス | DMM | 松井 | PayPay | 大和 | 野村 |
取り扱い有無 | 有 | 有 | 有 | 有 | 有 | 有 | 有 | 有 |
---
コメント