本記事は米国株の中でもドミニオン・エナジー(D)に関するものとなっています。
本記事ではこのような疑問に答えます
- ドミニオン・エナジーとはどのような企業か?
- ドミニオン・エナジーの財務状況は?
- 取り扱っている証券会社は?
- ドミニオン・エナジーの将来性や配当金は?
ドミニオン・エナジーとは
ドミニオン・エナジー(D)は、米国の13の州で天然ガス供給、発電、送電施設を運営している企業です。
主な事業は4つあり、ドミニオン・エナジー・バージニア、ドミニオン・エナジー・サウスカロライナ、ガス分配、契約資産事業に分かれています。
ドミニオン・エナジー・バージニア事業ではバージニア州とノースカロライナ州で送電、配電設備を運営し、発電施設から270万の住宅や事業者、政府施設などへ電力を供給しています。
発電方法としては天然ガスや原子力、水力、太陽光、バイオマスなど多様な方法を使って発電しています。
バージニア州ではサリー原子力発電所、ノースアンナ原子力発電所を運営し、バージニア州の顧客のおおよそ3分の1の発電を担っています。
また、ガス分配事業では、ノースカロライナ州やウェストバージニア州、オハイオ州、ユタ州、ワイオミング州、アイダホ州の310万の顧客に82100マイルのガスパイプラインで天然ガスを供給。
出典:海外のガス事業の状況(経済産業省)大きさのみ加工
上記は米国の天然ガス事業の産業構造を示したもので、ドミニオン・エナジーの場合は基本的に輸送、配給の部分にあたると考えられます。
一方でドミニオン・エナジー・サウスカロライナ事業では、サウスカロライナ州での送電、配電設備の運営、発電施設から約77万の顧客への電力の供給、約42万の顧客への天然ガスの配給事業をおこなっています。
契約資産事業では、ミルストーン原子力発電所の運営や太陽光発電施設の開発事業などを行っています。
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競合企業
競合企業としてはドミニオン・エナジーの地盤であるバージニア州やウェストバージニア州に加えて、米国の11州、550万の顧客に電力を供給し、送電、配電の維持を行うアメリカンエレクトリックパワーが挙げられます。
また、同じくウェストバージニア州やバージニア州で火力発電や水力発電を行い、送電、配電施設を運営、アメリカの中西部で600万人の顧客が存在するファーストエナジー。
バージニア州などでガスの供給事業や電力供給事業を行うナイソースなどが挙げられます。
- アメリカンエレクトリックパワー
- ファーストエナジー
- ナイソース
ドミニオン・エナジーの将来性
基本的にドミニオンエナジーの提供するガスや電気の需要は、その展開する地域の人口に左右されるかと思われます。
おおよそドミニオンエナジーの地盤であるバージニア州は人口増加率は大きく上下する部分があるものの、人口が増加傾向にあり、直近の調査の2020年でも人口増加率は2.4%となっています。
また、もう一つの地盤であるサウスカロライナ州も人口は増加傾向で直近の調査で2020年の人口増加率は10.7%とかなり高い水準で推移しています。
そのため、地盤地域での需要自体に問題はないかと思われます。
加えて、送電や配電に関する事業に関しては規制が設けられているため、競争は無いようです。
一方で電気の供給やガスの分配事業ではより安く提供している企業があれば、顧客が乗り換える可能性は十分にあり得ます。
しかし、現状では原子力や天然ガスによる火力、水力、再生可能エネルギーなど多様な発電方法を取り入れていて、極端に電気の値段が上がり、他の企業と値段の差が大きく変わる可能性は少ないのではないでしょうか。
とはいえ、再生可能エネルギーは電力供給が不安定な部分や年々需要の高まっている天然ガスの価格が高騰した場合、発電コストが上がる点。
また、天然ガスでは分配事業も行っており、現状では天然ガスの方がプロパンガスよりも価格で優位性をとっていますが、価格高騰で顧客がプロパンガスなどに変える可能性があることなど懸念点と言えるでしょう。
財務状況
以下はドミニオン・エナジーの財務状況を示したものとなっています。
営業利益
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上記はドミニオン・エナジーの営業利益を示したものとなっています。
営業利益は本業でどれくらいの利益を得たかを示したものとなっています。
ドミニオン・エナジーの場合2020年までは徐々に増加していましたが、2020年を境に2021年は大きく営業利益を減少させていることが見てとれます。
EPS

上記はドミニオン・エナジーのEPSを示したものとなっています。
EPSは基本的に右肩上がりとなっているかが指標となります。
ドミニオン・エナジーの場合2019年まではおおよそ右肩上がりも傾向でしたが、2020年にはやや減少、その後は横ばいという状態が続いています」。
営業利益率
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上記はドミニオン・エナジーの営業利益率を示したものとなっています。
営業利益率はおおよそ10%〜15%以上が優良とされる水準です。
ドミニオン・エナジーの場合、おおよそ安定して20%を超える水準で評価できる値ではないかと思われます。
自己資本比率
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上記はドミニオン・エナジーの自己資本比率を示したものとなっています。
自己資本比率は基本的に企業の安定性を示す指標で、おおよそ30%以上が目安とされます。
ドミニオン・エナジーの場合、2019年は30%を超えていますが、それ以外の年は30%を下回る水準が続います。
営業活動によるCF
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上記はドミニオン・エナジーの営業活動によるCFを示したものとなっています。
営業活動によるCFは基本的に企業の手元現金の推移を示したものです。
ドミニオン・エナジーの場合、2020年までは徐々に上昇傾向にありましたが、2021年には大きく減少していることが見てとれます。
配当性向
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上記はドミニオン・エナジーの配当性向を示したものとなっています。
ドミニオン・エナジーの場合、基本的には80%前後とかなり高い水準で推移していましたが、2021年では60%台とやや減少が見られます。
配当金推移
以下は、ドミニオン・エナジーの直近10年の年間配当金の推移を示したものとなっています。
2019年までは増配を続けていましたが、2020年では減配となっています。
西暦 | 配当金 |
2021 | 2.52$ |
2020 | 3.45$ |
2019 | 3.67$ |
2018 | 3.34$ |
2017 | 3.035$ |
2016 | 2.8$ |
2015 | 2.59$ |
2014 | 2.4$ |
2013 | 2.25$ |
2012 | 2.11$ |
コメント・考察
公益事業は配当が魅力だったりするのですが、ドミニオン・エナジーは2020年、2021年連続で減配とやや気になる展開となっています。
とはいえ、2020年には配当性向が90%とかなり高い状態となっていて、増配を続けていくのは難しく、減配を行なったのは仕方のない展開とも言えるでしょう。
また、ドミニオンエナジーではガスの配給や火力発電において天然ガスを使用しているため、天然ガス価格の高騰は気になる点です。
出典:世界経済のネタ帳
実際に現在の米国内の天然ガス価格は上記の図からも分かるように2020年を境にして急上昇しており、2008年の高値に迫る勢いとなっています。
そのため、火力による天然ガスの発電コストは増していますし、天然ガスの配給の価格も上げざるおえなくなるのではないかと思われます。
また、直近ではドミニオン・エナジーはパイプラインをバフェット率いるバークシャーへ売却する方向を進めていましたが、断念しています。
これに関しては、バークシャーが負債も含めての売却だったので痛手なのではないかと思われます。
取り扱っている証券会社
以下は米国株を取り扱う主な日本の証券会社の中でドミニオン・エナジーの取り扱いの有無を示したものとなっています。
基本的にはPayPay証券以外では全て取り扱っていることがわかります。
証券会社 | 楽天 | sbi | マネックス | DMM | PayPay | 松井 | 大和 | 野村 |
取り扱いの有無 | 有 | 有 | 有 | 有 | 無 | 有 | 有 | 有 |
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