本記事は米国株のなかでもケマーズ(CC)に関する記事となっています。
本記事ではこのような疑問に答えます
- ケマーズとはどのような企業か?
- ケマーズの将来性や財務状況は?
- 取り扱っている証券会社は?
- ケマーズの配当や事業別収益は?
ケマーズ(CC)とは
ケマーズは主に二酸化チタンなどの化学素材や特殊化学製品を中心に取り扱っている企業です。
元々はデュポン・ド・ネムール社(旧デュポン)の一部でしたが2015年に独立し、現在に至ります。
ケマーズの主な事業は4つあり、チタン事業、熱及び特殊素材事業、高機能素材事業、化学事業に分かれています。
まず、チタン事業では建築や工業用の塗料、ラミネート紙などに使用される二酸化チタンを取り扱っており、二酸化チタン顔料であるタイピュアを主に扱っています。
生産施設は米国に2つ、メキシコ、台湾に一つずつ存在し、二酸化チタンの生産能力は年間で125万トンとなっています。
また、ジョージア州などでチタンの鉱山などを運営しています。
次に熱及び特殊素材事業では、フッ素溶剤であるオプテオンを主に取り扱っています。
オプテオンは主にエアコンや冷蔵機器の冷却剤や半導体の洗浄剤、特殊溶剤、噴射剤などに使用されています。
一方で高機能素材事業では、テフロンやバイトン、クライトックス、ナフィオンを取り扱っています。
テフロンは、調理器具の加工や塗料などに使用され、バイトンは加硫剤、加工助剤として使用されます。
また、クライトックスは、自動車や航空、機械関連など様々な分野において潤滑剤として使用され、ナフィオンは、燃料電池や水素製造のためなどに使用されます。
4つ目の化学事業では、元々はこの事業の70%の売上高を占めていた金の洗浄や消毒などに関連する製品を展開していましたが、2021年に売却。
現時点では事業の見直しを図っており、今のところはグリコール酸などの中間体製品を取り扱っています。
また、日本では三井・ケマーズフロロケミカルズとして展開しています。
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競合企業
ケマーズの競合企業としては、ジルコンやチタンの採掘、二酸化チタン顔料などの二酸化チタン製品を取り扱うトロノックスや世界で第3位の二酸化チタン顔料の生産力を持つLB Groupが挙げられます。
他にも二酸化チタンに関連する競合としては、ベネターマテリアルズやクロノスワールドワイド、イオネスなどが存在します。
また、熱及び特殊素材事業では、フランスに拠点を置き、フッ素樹脂などの化学素材を展開するアルケマやエアコン製品でも有名なダイキン工業、航空宇宙産業でも有名なハネウェルインターナショナルなどが挙げられます。
一方で高機能素材事業では、ガラス製品や様々な化学製品を取り扱うAGCや両面テープ、接着剤などで有名で世界的に展開する3Mやヨーロッパに拠点を置くソルベイなどが挙げられます。
- トロノックス
- LB Group
- ベネターマテリアルズ
- クロノスワールドワイド
- イオネス
- アルケマ
- ダイキン工業
- ハネウェルインターナショナル
- AGC
- 3M
- ソルベイ
ケマーズの将来性
ケマーズの売り上げ高の多くを占める二酸化チタンは、世界市場において2021年と比較して2026年までにおおよそ1.3倍まで拡大する見通しです。
一方で基本的に二酸化チタンは建築用や自動車、航空宇宙などのコーティングなどに使用されているため、世界的な経済活動に大きく左右されます。
また、二酸化チタンに関してEUでは規制の枠組みを変更する動きがあり、今後ケマーズの二酸化チタン製品に関してどのような影響があるのかが懸念点かと思われます。
他方で高機能素材事業で展開しているナフィオンは水素の発生や燃料電池に欠かせないイオン交換膜などに使用されます。
出典:資源エネルギー庁ウェブサイト 大きさのみ加工
例えば、上記は水素を発生させるための電解槽で2通りあり、コンパクト化に向いている個体高分子型水電解法のイオン交換膜などです。
そのため、仮に今後水素や燃料電池自動車の普及などが本格的に進めばよりナフィオンの需要は高くなるのではないかと思われます。
財務状況
以下はケマーズの財務状況などを示したものとなっています。
営業利益
上記はケマーズの営業利益を示したものとなっています。
営業利益は基本的に企業が本業でどれくらい利益を得たのかを示す指標です。
ケマーズの場合、2018年から2019年にかけては大幅に利益を減少させていますが、その後は徐々に」営業利益を回復させていることが見て取れます。
EPS
上記はケマーズのEPSを示したものとなっています。
EPSは基本的に右肩上がりとなっているかが主な指標となります。
ケマーズの場合、2018年にかけて大きく上昇するものの、その後は下落、しかし、2021年になると再び上昇し、上下の大きい推移となっています。
営業利益率
上記はケマーズの営業利益率を示したものとなっています。
営業利益率は一般的に10%〜15%以上が優良とされている水準です。
ケマーズの場合、2018年から2019年にかけて大きく下落していますが、その後は再び優良とされる10%台まで回復しています。
自己資本比率
上記はケマーズの自己資本比率を示したものとなっています。
自己資本比率は基本的に企業の安定性を示す指標で、30%以上がおおよその目安とされています。
ケマーズの場合は一貫して10%台を推移していてやや安定性には不安を感じる推移となっています。
営業活動によるCF
上記はケマーズの営業活動によるCFを示したものとなっています。
営業活動によるCFは基本的に企業の手元現金の推移を示すものとなっています。
ケマーズの場合、2018年から2019年にかけて大幅に下落、その後は緩やかな増加が続いています。
配当性向
上記はケマーズの配当性向を示したものとなっています。
ケマーズの場合、2020年をピークに配当性向は大きく下落、2021年の配当性向の大きな下落は利益自体は増加したが、2019年以降増配はしていない点が考えられる原因かと思われます。
事業別収益
純売上高 (百万$) | 2021 | 2020 | 2019 |
チタン事業 | 3355 | 2402 | 2345 |
熱及び特殊素材事業 | 1257 | 1105 | 1318 |
高機能素材事業 | 1397 | 1104 | 1330 |
化学事業 | 336 | 358 | 533 |
合計 | 6345 | 4969 | 5526 |
上記はケマーズの事業別の純売上高を示したものとなっています。
2020年は一時的に売上が全体として落ち込んでいますが、その中でもチタン事業は2020年でも2019年と比較しても伸び続けており、特徴的な部分かと思われます。
一方で他の事業も2021年には2019年と比較しても伸びているものが多いですが、化学事業は下落しています。
これに関しては、事業売却なども関係しているのではないかと思われます。
配当金推移
以下は直近のケマーズの年間配当の推移を示したものとなっています。
ケマーズでは2015年からの配当となっていますが、年によっては増配が止まることも多く、順調に増配とはなっていない様子が見て取れます。
西暦 | 配当金 |
2021 | 1$ |
2020 | 1$ |
2019 | 1$ |
2018 | 0.84$ |
2017 | 0.12$ |
2016 | 0.12$ |
2015 | 0.58$ |
コメント・考察
ケマーズに関して二酸化チタンのEUの規制の枠組み変更は大きく気になるところと言えるでしょう。
EUの規制の枠組み変更は直近では二酸化チタンの食品への添加を禁止するなどでケマーズの二酸化チタンは塗料などに主に使われていて、現時点で完全にEUでの需要が無くなるという可能性は少ないかと思われます。
ただ、今後よりEUで二酸化チタンの規制の枠組みが強化されたり、他の国にも二酸化チタンの規制が広がった場合は、売上高の多くを占めるケマーズへの大きな影響も避けられないのではないでしょうか。
一方でケマーズは二酸化チタン製品以外にも様々な化学製品が存在し、特にケマーズのオプテオンはEUのオゾン層破壊の原因となるフロン規制強化などに対応して作られた製品です。
このようにケマーズは規制変更などにもうまく対応した経緯もあるため、今後もうまく適応できるかが注目点かと思われます。
取り扱っている証券会社
以下は米国株を取り扱っている主な証券会社の中でケマーズの取り扱いの有無を示したものとなっています。
証券会社 | 楽天 | sbi | マネックス | DMM | PayPay | 松井 | 大和 | 野村 |
取り扱いの有無 | 有 | 有 | 有 | 有 | 無 | 無 | 有 | 無 |
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