本記事は米国株の中でもシスコシステムズ(CSCO)に関するものとなっています。(https://www.cisco.com/site/us/en/index.html)
本記事はこのような疑問に答えます
- シスコシステムズとはどのような企業か?
- シスコシステムズの将来性は?
- 財務状況や取り扱っている証券会社は?
- シスコシステムズの配当金は?
シスコシステムズとは?
シスコシステムズとは通信機器やそれらに関連するセキュリティ製品、ソフトウェア製品などを展開している企業です。
下記は2022年度の地域別の収益を示したものでアメリカ大陸地域が収益の半分以上を占めています。
出典:Cisco 2022 Annual report
シスコシステムズにはおおよそ5つの事業分野があり、展開している事業としてはまずネットワーク事業があります。
このネットワーク事業ではスイッチングやルーター、ワイヤレス製品などのハードウェア、ソフトウェア製品を展開しています。
例えば、スイッチング製品では企業向けやデータセンター向けなどのCatalyst9000シリーズといったバードウェアや自動化、接続などに関わるサブスクリプションベースのソフトウェア、CiscoDNAなどがあります。
一方でインターネット事業では光ネットワークなどが関連するオプティカルネットワーキングや5Gなどに関連する機器などの製品を扱っています。
また、コラボレーション製品事業ではIP電話機器やヘッドセット、ビデオ会議アプリケーションを展開している子会社のWebexと関連したWebexDeskやWebexBoardなどの会議用のビデオカメラやモニターなどを展開しています。
加えて、セキュリティ事業ではSecureXソリューションを展開し、ファイアウォールやDDoS攻撃を防いだり、脆弱性管理などを行なったりする製品を展開しています。
そしてアプリケーション事業では買収したアプリケーションのパフォーマンス管理や分析を行うAppDynamicsの事業やネットワークのパフォーマンスを測定するThousandEyesの事業を展開しています。
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競合企業
競合企業としてはスイッチング、ワイヤレス製品、サイバーセキュリティ製品などを展開するブロードコムやスイッチングなどのネットワーク機器を扱うアリスタネットワークス、同じくネットワーク機器などを展開するジェニパーネットワークスがあります。
また、クラウドセキュリティを展開するクラウドストライクやビデオ会議アプリケーションを展開するズームビデオコミュニケーションズがあります。
その他にもデータドッグやデル・テクノロジーズ、フォーティネット、パロアルトネットワークスなどの企業が競合として挙げられます。
- ブロードコム
- アリスタネットワークス
- ジェニパーネットワークス
- クラウドストライク
- ズームビデオコミュニケーションズ
- データドッグ
- デル・テクノロジーズ
- フォーティネット
- パロアルトネットワークス
シスコシステムズの将来性は?
シスコシステムズの将来性としてはやや不安定な部分があるかと思われます。
理由としてはまず、シスコシステムズの主要事業は依然としてネットワーク機器にある点です。
そのため、シスコシステムズの売上は顧客企業のデータセンターなどの設備投資に大きく依存し、設備投資などを抑える不況下では大きな影響を受ける可能性が高いです。
また、同じネットワーク機器市場の競合企業の追い上げが理由として挙げられます。
シスコシステムズはスイッチング市場などの市場シェアでは依然として優位な位置にありますが、鈍化傾向にある一方で例えば競合であるアリスタネットワークスは関連するソフトウェアの開発に注力し、シェアを伸ばしています。
対して、シスコシステムズも同様に収益の安定性にも繋がるサブスクリプションベースのソフトウェアを展開してはいますが、速度や使いやすさといった点ではアリスタネットワークスの方に優位性があります。
よってこのようなシスコシステムズの懸念点から将来性としてはやや不透明な部分があるのではないかと思われます。
財務状況
以下はシスコシステムズの財務状況などを示したものです。
営業利益
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上記はシスコシステムズの営業利益を示したものです。
営業利益は基本的に企業が本業で得た利益を示すものです。
シスコシステムズの場合、全体として横ばいの状態が続いていることが見て取れます。
EPS

上記はシスコシステムズのEPSを示したものです。
EPSは基本的に右肩上がりとなっているかが主な指標となります。
シスコシステムズの場合、2017年など一時的に減少している時期はあるものの、全体としては右肩上がりとなっていることがわかります。
営業利益率
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上記はシスコシステムズの営業利益率を示したものです。
営業利益率は基本的に10%〜15%以上が優良な企業の水準とされています。
シスコシステムズの場合、おおよそ30%前後と評価できる水準にあるかと思われます。
自己資本比率
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上記はシスコシステムズの自己資本比率を示したものです。
自己資本比率は基本的に企業の安定性を示すもので、30%以上がおおよその目安とされています。
シスコシステムズの場合、全体としては30%以上であり上昇傾向にあることが見て取れます。
営業活動によるCF
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上記はシスコシステムズの営業活動によるCFを示したものです。
営業活動によるCFはおおよそ企業の手元現金の推移を示すものです。
シスコシステムズの場合、2021年までは横ばいが続いていましたが、2022年ではやや減少していることが見て取れます。
配当性向
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上記はシスコシステムズの配当性向を示したものです。
シスコシステムズの場合、全体として40%前後で推移していることが見て取れます。
事業別収益
収益(百万$) | 2021 | 2020 | 2019 |
ネットワーク | 23829 | 22722 | 23265 |
インターネット | 5278 | 4514 | 4180 |
コラボレーション | 4472 | 4727 | 4823 |
エンドツーエンドセキュリティ | 3699 | 3382 | 3158 |
アプリケーション | 729 | 654 | 524 |
その他製品 | 11 | 15 | 28 |
合計 | 38018 | 36014 | 35978 |
上記はシスコシステムズの事業別の収益を示したものとなっています。
収益的にはインターネット事業やコラボレーション事業が大きな割合を占めており、全体としては収益は増加傾向にあることがわかります。
配当金
以下はシスコシステムズの直近10年の年間配当金の推移を示したものです。
西暦 | 配当金 |
2022 | 1.51$ |
2021 | 1.47$ |
2020 | 1.43$ |
2019 | 1.38$ |
2018 | 1.28$ |
2017 | 1.13$ |
2016 | 0.99$ |
2015 | 0.82$ |
2014 | 0.74$ |
2013 | 0.51$ |
コメント・考察
現在のシスコシステムズは現状ではスイッチングなどのネットワーク機器が依然として主力であることには変わりありませんが、AppDynamicsやThousandEyesなど買収を通じてソフトウェア市場への参入、拡大を行っています。
このような点からも、シスコシステムズの収益をネットワーク機器の販売などからソフトウェアのサブスクリプションの方向へと舵を切りたい様子が透けて見えるのではないでしょうか。
しかしながら、ソフトウェアの分野では競合のアリスタネットワークスがソフトウェア駆動で統一したOSで展開しているのに対して、買収などで対応してシスコシステムズは複雑化し、つぎはぎ感が否めません。
また、確かに財務的には営業利益は安定的で、配当狙いの銘柄としては魅力的かもしれませんが、競合のアリスタネットワークスと比較してもソフトウェアの面で難がある以上事業のスケールアップ、成長性としては欠けている印象です。
そのため、アリスタネットワークといった競合企業やその他のソフトウェア企業のような大きな株価の伸びにはあまり期待できないのではないでしょうか。
取り扱っている証券会社
以下は米国株を取り扱っている主な日本の証券会社のなかでシスコシステムズの取り扱い取り扱い有無を示したものです。
証券会社 | 楽天 | sbi | マネックス | DMM | 松井 | PayPay | 大和 | 野村 |
取扱有無 | 有 | 有 | 有 | 有 | 有 | 有 | 有 | 有 |
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