本記事は米国株の中でもプラグパワー(PLUG)に関する内容となっています。(https://www.plugpower.com)
本記事はこのような疑問に答えます
- プラグパワーはどのような企業か?
- プラグパワーの将来性は?
- 取り扱っている証券会社は?
- プラグパワーの財務状況は?
プラグパワーとは?
プラグパワーは、全体的な水素生産やそれらに関連するインフラの構築、フォークリフトなど荷物運搬に関わる燃料電池の開発などを行なっている企業です。
主な製品やサービスとしては電動フォークリフトや倉庫などで荷物を運搬する無人搬送車などに電力を供給できる燃料電池製品であるGenDrive、液体水素燃料の生成、貯蔵、供給、分配システムであるGenfuel。
ちなみに、水素の貯蔵、運搬などでは15000〜18000ガロンの液体水素を保持できるバルク液体貯蔵タンクや最大120kgの気体を保持できる気体貯蔵チューブ、水素の液化装置、水素の運搬用の極低温トレーラーなどを開発しています。
出典:Plug Power Inc Current Report
上記はプラグパワーの水素供給などのシステムの一面を示したものとなっています。
また、電気と特殊な膜を用いて水素を発生させる水素発生装置のGenfuel電解槽や燃料電気自動車のエンジン部分で使用される燃料電池スタックのProGen、分配した水素燃料の量の追跡などアフターサービスのGenKey。
そしてその後の水素貯蔵や燃料電池システムのメンテナンスサービスなどを行うGenCareなどがあります。
また、2021年には液化水素や窒素、アルゴンなど低温ガスの輸送や貯蔵などを行うAppliedCryoTechnologiesや流量制御、分離技術などに関わるFramesGroupの買収を行なっています。
現時点での最大顧客はAmazonで2021年の総収益の40.8%を占めています。
その他の顧客としてはウォルマートやCarrefour、ボーイング、AT&T、NASAなどがあります。
また、将来的にグリーン水素の導入を検討しているエアバス社や石油会社であるフィリップス66との戦略的合意なども行なっています。
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競合企業
プラグパワーの競合企業としては、水素や酸素などの産業用ガスの生産を行い、水素の輸送、貯蔵施設まで展開しているエアープロダクツアンドケミカルズが挙げられます。
また、同じく水素を含む産業用のガスの生産を行い、液化や極低温制御なども行うリンデや肥料の他に管理の難しい水素を運搬する方法の代替えとしても使用されるアンモニアを製造するCFインダストリーズが挙げられます。
加えて、水素などの生産から輸送、貯蔵、流通全体を行うエアリキッドや燃料電池スタックや自動車用の燃料電池などを開発するバラード・パワー・システムズ。
そして燃料電池自動車の開発も行うトヨタ自動車から燃料電池フォークリフトなどの開発を行う豊田自動織機などが関連するトヨタグループが挙げられます。
また、他にもパワーセル・スウェーデンやブルームエナジーなどが挙げられます。
- エアープロダクツアンドケミカルズ
- リンデ
- CFインダストリーズ
- エアリキッド
- バラード・パワー・システムズ
- トヨタグループ
- パワーセル・スウェーデン
- ブルームエナジー
プラグパワーの将来性
プラグパワーの収益面での現時点での最大の顧客はAmazonで、理由としてはAmazonがフォークリフトなどの荷物運搬車を従来型から燃料電池式へと変えていることが挙げられます。
ただ、なぜ従来のものから燃料電池の荷物運搬車に変えているかというとトータル的に見てコストが安くなる点や効率が良いと見られているからです。
従来の荷物運搬車は、ガソリンを使用するエンジン式や電気で動くバッテリーのものがあります。
一方でガソリン式は環境の観点から批判が強まっている点、電気のバッテリーの場合バッテリーの充電に数時間かかること、またバッテリー交換で対応しても人手がかかるのと数十分バッテリー交換にかかるデメリットがあります。
他方で確かに初期費用は高いものの、燃料電池の荷物運搬車だとガソリンと同じように水素スタンドで供給ができ、人員もかからず供給が数分で済む点でメリットがあります。
このようなメリットがあり実際Amazonなど大きな倉庫や物流を抱える企業で燃料電池の荷物運搬車の導入が進んでいるわけですが、今後特に初期費用がかけられる企業などでは導入が進む可能性が考えられます。
実際にエアバスなどと合意に至っていることなどからも分かるでしょう。
また、プラグパワーは燃料電池自体の販売だけでなく、水素の運搬や供給にも関わっているため、燃料電池の運搬車の導入が進むほど継続的な契約が望め、事業の将来性自体は大きいと言えるのではないでしょうか。
ただし、現時点ではAmazonが収益の4割以上と偏っており、Amazonが仮に燃料電池車両への設備投資を削減したり、資金力を活かして自前で水素の供給網を整えたりした場合、プラグパワーは大きく打撃を受けることになります。
そのため、他の企業との契約や供給も増やし、Amazonへの収益面の依存を減らさない限り、一つの企業に大きく左右されていまうという懸念点は残ります。
財務状況
以下はプラグパワーの財務状況などを示したものとなっています。
営業利益
上記はプラグパワーの営業利益の推移を示したものです。
営業利益は本業でどれくらい利益を得たのかを示すものです。
プラグパワーの場合、大きく営業利益のマイナス幅が拡大していることが見て取れます。
EPS
上記はプラグパワーのEPSを示したものです。
EPSは一般的に右肩上がりとなっているかが主な指標とされます。
プラグパワーの場合、全体としては右肩下がりとなっていてあまり好ましくない状況です。
営業利益率
上記はプラグパワーの営業利益率を示したものです。
営業利益率は一般的に10%〜15%以上がおおよそ優良な水準とされています。
プラグパワーの場合全般的にマイナスであり、2020年は数値的には良く見えますが、そもそも総収入自体マイナスであるため全く良いわけでは無く全体としても正直良いとは言えない状態です。
自己資本比率
上記はプラグパワーの自己資本比率を示したものです。
自己資本比率は一般的に企業の安定性を示す指標で30%以上がおおよそ目安とされています。
プラグパワーの場合、2019年までは30%未満の値でしたがその後は30%を超えるまでの水準まで上昇しています。
営業活動によるCF
上記はプラグパワーの営業活動によるCFの推移を示したものです。
営業活動によるCFは主に手元現金の推移を示しています。
プラグパワーの場合、マイナス幅が拡大していることが見て取れます。
事業別収益
収益(千$) | 2020 | 2021 |
燃料電池、関連インフラ販売 | -94295 | 392777 |
関連サービス | -9801 | 26706 |
電力購入契約 | 26620 | 35153 |
燃料輸送サービス | -16072 | 46917 |
その他 | 311 | 789 |
合計 | -93237 | 502342 |
上記はプラグパワーの事業別の収益を示したものとなっています。
2020年と比較すると2021年はマイナスから一転してプラスの収益となっていることが見て取れますが、特に燃料電池、関連インフラ販売が大きく増加した点大きな特徴だと思われます。
配当金
プラグパワーは現時点では配当金を出していません。
基本的に営業利益がマイナスである現時点では配当金が出るのはまだ先となりそうです。
コメント・考察
燃料電池を使った荷物運搬車の利点などが注目され、Amazonやウォルマートなど大型の倉庫などを持つ企業で燃料電池の荷物運搬車の導入が進んできており、燃料電池の事業の市場自体の将来性は高まってきていると言えるでしょう。
しかし、プラグパワーの営業利益や営業活動によるCFなどはマイナス続きで、正直言って財務状況は酷い状態です。
お世辞にも良いとは言えません。
一方でプラグパワーは、最大顧客でもあるAmazonに対してあらかじめ予定された株価でプラグパワーの株式を購入することができるワラントを発行してAmazonから資金調達を行なっています。
ただ、ワラントを発行している時点で資金繰りが厳しい部分が透けて見えますし、株式の希薄化も懸念されます。
しかし、エアバスなど新規顧客が増えれば、燃料電池そのものの販売の他に継続的な水素の販売など行えるため、収益状態の改善の余地自体は残されているかと思われます。
他方で収益状況が今後改善しない場合、資金繰りはさらに苦しくなる可能性が考えられます。
また、倒産はしないまでもAmazonがワラントで株式を多く保有していることや最大顧客であることを考えるとAmazonによる買収などに落ち着く可能性も考えられるのではないかと思われます。
取り扱っている証券会社
以下は米国株を取り扱っている日本の証券会社の中でプラグパワーの取り扱いの有無を示したものとなっています。
証券会社 | 楽天 | sbi | マネックス | DMM | 松井 | PayPay | 大和 | 野村 |
取り扱い有無 | 有 | 有 | 有 | 有 | 有 | 有 | 有 | 有 |
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