本記事では米国株の中でもエアー・プロダクツ・アンド・ケミカルズ(APD)に関する記事となっています。
本記事ではこのような疑問に答えます
- エアー・プロダクツ・アンド・ケミカルズとは?
- エアー・プロダクツ・アンド・ケミカルズの競合企業は?
- 取り扱っている証券会社や配当金は?
- エアー・プロダクツ・アンド・ケミカルズの将来性は?
エアープロダクツアンドケミカルズ (APD)
エアープロダクツアンドケミカルズ(APD)は米国に拠点を置き、54カ国で産業用のガスなどを提供している企業です。
主に取り扱っている産業用ガスはまず、大気中に含まれる窒素や酸素、アルゴンなどがあり、空気中から分離して提供。
その他の水素や一酸化炭素、メタンなどガス製品は天然ガスやその他石油化学産業からの副産物として生成されています。
その中でも近年注目度の高い水素はクリーンエネルギーとして注目されていますが、実は発生させる方法やその後のCO2の取り組みの方法で下記のように3種類に分けられています。
出典:資源エネルギー庁ウェブサイト
エアー・プロダクツ・アンド・ケミカルズの場合、主に天然ガスなどを利用して発生させていますが、同時に炭素回収なども行っているため、基本的にはブルー水素に分類されます。
また、天然ガスの液化や液体ヘリウム、液体水素の貯蔵や運搬のための装置の設計や開発などを行っています。
それぞれの産業用ガスの用途としては、窒素は食品加工業者や半導体事業者などへ提供、酸素は鉄鋼業やセメント業、アルゴンも半導体産業などで使用されています。
また、ヘリウムは超伝導装置や加圧、冷却などに使用されています。
基本的にそれぞれの産業用ガスは各地域、使用される地域近くで製造されていますが、ヘリウムに関しては使用される場所とは離れた地点で製造され、テキサス州の地下施設で貯蔵、ISOタクトコンテナで輸送されています。
日本では商業用の水素ステーションの開発事業に貢献しています。
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競合企業
エアープロダクツアンドケミカルズの競合としてはまず、イギリスに本拠地を置く、リンデが挙げられます。
リンデは同じく、窒素やヘリウム、アルゴン、酸素などの産業用ガスの生産を行っています。
また、同様に酸素や窒素、水素などの産業用ガスを提供し、エアバス社とも協力して炭素排出の削減に取り組むエア・リキッドやヨーロッパに拠点を置き、産業用ガスを提供するメッサーグループが挙げられます。
加えてフォークリフトなどの荷物運搬車の燃料電池の開発や水素の生産や貯蔵、供給など水素に関連するインフラの開発も行なっているプラグパワーなどがあります。
- リンデ
- エア・リキッド
- メッサーグループ
- プラグパワー
エアー・プロダクツ・アンド・ケミカルズの将来性
まず、エアー・プロダクツ・アンド・ケミカルズの扱うアルゴンや窒素、ヘリウムは今後も拡大が期待されている半導体事業での用途がある点。
また、特にヘリウムは今後開発が進んでいくであろう宇宙開発の分野、ロケットの加圧部分に使われるため、需要自体は高いかと思われます。
加えて、水素に関しては炭素排出の削減の観点など環境の面から注目が集まっていますが、仮に燃料電池自動車などが普及していけば、大きな需要があると考えられます。
また、エアー・プロダクツ・アンド・ケミカルズは水素ステーションの取り組みや水素の液体としての運搬や貯蔵を行っているため、水素そのものに加えて水素の貯蔵方法や運搬といった部分でも活躍できると思われます。
ただし、水素の運搬に関しては液化して運搬する以外にもアンモニアなどに変えて運搬する方法もあるため燃料電池車などが普及した場合アンモニアを製造する企業などとも競合する可能性も出てくると考えられます。
ちなみに直近ではエアー・プロダクツ・アンド・ケミカルズも水素の輸送のためにアンモニアを活用する取り組みを進めているため、アンモニア関連の企業との競合はますます現実味を帯びてくるのではないかと思われます。
ちなみにアンモニアに関わる企業には下記のような企業があります。
財務状況
以下はエアー・プロダクツ・アンド・ケミカルズの財務状況などを示したものとなっています。
営業利益
上記のグラフは、エアープロダクツアンドケミカルズの年毎の営業利益を表したグラフとなっています。
営業利益とはそもそも本業でどれくらいの利益を得ているのかという指標でブレが少なく、安定的に増加しているほど評価される指標です。
エアープロダクツアンドケミカルズは、その点ブレが少なく安定的な本業での利益を得ていると評価できるのではないかと思われます。
EPS
上記のグラフは、EPS(1株あたりの利益)を示したグラフです。
この指標は、企業の収益力を示した値でこの指標も右肩上がりになっているかが注目点となります。
エアープロダクツアンドケミカルズでは、2017年にはやや下降しましたが、その後は再び上昇傾向に戻っています。
営業利益率
上記のグラフは、営業利益率を示したグラフです。
この指標はどれほど儲かるビジネスをやっているのかという指標になりますが、基本的に10%〜15%以上が優良と呼ばれる企業の水準です。
エアープロダクツアンドケミカルズの場合は基本的に20%以上を超えているため、優良企業と呼ばれるラインに入りますが、あまり高すぎると他に問題がある場合があるためその点は注意が必要です。
自己資本比率
上記の数値を表したグラフは、自己資本比率を示したグラフになります。
この指標は、どれくらいが会社の自体のお金であるかを示しており、主に企業の安全性を示す指標として使われます。
目安としてはおおよそ30%以上が理想的だとされていますがその点、エアープロダクツアンドケミカルズは、不況のコロナ下でも40%以上をキープしているため十分な値だといえそうです。
営業活動によるCF
上記の棒グラフは、営業によるCFを表しています。
この営業活動によるCFは、企業における手元現金の推移を示しています。
この指標が増加傾向にあれば手元の現金が増えているということでありますが、エアプロダクツアンドケミカルズは増加傾向にあるようです。
配当性向
上記のグラフは、配当性向になります。
この指標は利益のうちのどれくらいを配当として株主に還元しているのかの指標となります。
そのため、50%未満くらいが健全な値ですが、エアープロダクツアンドケミカルズは60%近くとなりそろそろ注意が必要なラインかと思われます。
事業別収益
営業利益 | 2021 | 2020 |
アメリカ大陸 (産業用ガス) | 1065.5 | 1012.4 |
ヨーロッパ、中東、アフリカ (産業用ガス) | 557.4 | 473.3 |
アジア (産業用ガス) | 838.3 | 870.3 |
グローバル (産業用ガス) | -60.6 | -40 |
その他、企業間 | -132.8 | -112.2 |
合計 | 2267.8 | 2203.8 |
上記はエアー・プロダクツ・アンド・ケミカルズの地域事業別の営業利益を示したものとなっています。
2020年と比較して2021年では全体としては営業利益は拡大していますが、アジア地域ではやや営業利益が減少していることが見て取れます。
配当金推移
下記はエアー・プロダクツ・アンド・ケミカルズの直近10年の配当金推移を示したものとなっています。
西暦 | 配当金 |
2021 | 6$ |
2020 | 5.36$ |
2019 | 4.64$ |
2018 | 4.4$ |
2017 | 3.8$ |
2016 | 3.44$ |
2015 | 3.24$ |
2014 | 3.08$ |
2013 | 2.84$ |
2012 | 2.56$ |
コメント・考察
エアー・プロダクツ・アンド・ケミカルズに関して営業利益や営業活動によるCFなども順調に増加しているなど現時点では財務状況に関しては申し分のない状態かと思われます。
主に生産する製品も需要自体は今後も問題ないように思われますが、窒素や二酸化炭素、アルゴンなど大気中から分離して生成する製品は原料としてはコストはかかりませんが、分離する際に圧縮する必要があり多くの電力がかかります。
また、ヘリウムなどの生産にも原料としては天然ガスが必要となります。
そのため、電力や天然ガスの価格によってコストが左右され、電力の逼迫や天然ガス価格の高騰などが起きると生産自体に大きな影響を受けることは懸念点の一つとして挙げられるのではないかと思います。
また、クリーンエネルギーとされる水素ですが、エアー・プロダクツ・アンド・ケミカルズが生産する際、炭素回収をしているにしても結局のところ天然ガスなどを使っている部分があります。
これだと、正直バイオ燃料などと大して変わらない部分があり、次世代のエネルギーとして推していけるかは正直微妙なところがあるのではないかと思われます。
とはいえ仮に再生可能エネルギーによる発電によって発生させる水素、グリーン水素を主力として生産していけるのであれば、水素を作るにも結局化石燃料を使っているという批判の部分を払拭できるのではないでしょうか。
取り扱っている証券会社
下記は米国株を取り扱っている主な日本の証券の中でエアー・プロダクツ・アンド・ケミカルズの取り扱いの有無を示したものとなっています。
証券会社 | 楽天 | sbi | マネックス | DMM | Pay Pay | 松井 | 野村 | 大和 |
取り扱い有無 | 有 | 有 | 有 | 有 | 無 | 有 | 有 | 有 |
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