今回は米国株の中でもペイパル・ホールディングス(PYPL)に関するものとなっています。
本記事はこのような疑問に答えます。
- ペイパル・ホールディングスとはどのような企業か?
- ペイパル・ホールディングスの将来性は?
- 取り扱っている証券会社や財務状況は?
- ペイパル・ホールディングスの配当金は?
ペイパル・ホールディングス(PYPL)とは?
ペイパル・ホールディングス(PYPL)は、決済サービスやソリューションを提供している企業です。
一時ebayとの合併を行いましたが、その後分社化して上場を行っています。
主にPayPal及びVenmoアカウントを使用して商品やサービスの購入および支払いの受け取りや資金の送金、引き出しといった決済ソリューションを提供しています。
販売者側は、加盟店となることでPayPal及びVenmoデジタルウォレット、PayPalの消費者信用製品、クレジットカードやデビットカード、競合するデジタルウォレット、その他一般的なローカル支払いなどオンライン、オフラインの様々な支払いを受け入れることが可能になります。
また、販売者側にはPayPalWorkingCapital及びPayPalBusinessLoan製品を提供しており、中小企業向けに融資やローン製品を提供しています。
一方で消費者側には銀行口座やクレジットカード、PayPal残高など多数の資金源を活用して支払いができるPayPalやVenomデジタルウォレットの提供や国内、国際間でのP2P送金ができる送金、決済ソリューションを提供しています。
加えて、消費者向けのリボルビングやクレジット製品などを扱っています。
2022年12月時点で200以上の市場で4億の消費者アクティブアカウント、3500万の販売者アクティブアカウントで構成されており、顧客の支払い取引及び支払い関連サービスの手数料が主な収益となっています。
ちなみに直近では日本のPaidyを買収しています。
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競合企業
ペイパル・ホールディングスの競合企業としてはオンライン決済プラットフォームを展開しているストライプや決済ソリューションを展開しているブロックが挙げられます。
また、ApplePayなどを展開しているAppleやP2P送金サービスを提供しているWiseなどがあります。
- ストライプ
- ブロック
- Apple
- Wise
ペイパル・ホールディングスの将来性
ペイパル・ホールディングスの将来性としてはやや不透明な部分があると言えるでしょう。
まず、一つ目の理由としては決済市場における競争の激化が挙げられます。
例えば、ストライプやブロックといった新興の決済サービスは簡単な操作性やPayPalよりも安い手数料をアピールしてサービスの提供を行っています。
また、従来型のVISAやマスターカードといった決済会社やAppleなどとの競争も激化しており、特にAppleは決済においてApplePayを提供しています。
加えて、AppleはAppleCardユーザー向けに年利4.15%の普通貯金口座という高金利の預貯金サービスも提供し始めましたが、この高金利の預貯金サービスを利用してApplePay決済を行うとキャッシュバックの割合が増える構造となっています。
つまり、Appleは高金利の預貯金サービスを提供することで自社の決済へと誘い込む形となっています。
そのため、消費者にとって魅力的な高金利の預貯金サービスと組み合わせたApplePayはPayPalのユーザーを引き剥がす脅威となる可能性は高いと言えるでしょう。
このように新興の決済会社や既存のカード会社ひいてはAppleなどとの競争が厳しくなってきており、競争圧力にさらされている点は懸念点だと思われます。
もう一つの理由としてはアクティブユーザーの増加が鈍化傾向にある点が挙げられます。
鈍化している原因としては例えば、ペイパルのアカウントの不正利用やボットによる開設が増え、対処として不正目的が疑われる約450万のアカウントの削除を行ったり、元親会社で決済額でも大きな割合を占めていたebayが独自の決済を構築していることなどがあります。
そのため、実際にアクティブユーザーは2020年、約3億7000万だったものが2021年では約4億2600万へと約13%の増加率だったものが2022年では約4億3500万と約2%の増加率にまで減少しています。
この点で収益の重要な部分となるアクティブユーザーの増加率が低迷している部分で懸念点だと言えるでしょう。
これらの点を鑑みるとペイパル・ホールディングスの将来性としてはやや不透明な部分があると思われます。
ペイパル・ホールディングスの今後に対する期待度
以下はペイパル・ホールディングスの今後に対する期待度を示したものです。
ちなみに期待度は高い順に5から1となっています。
ご自身が思うペイパル・ホールディングスの今後に対する期待度にぜひ投票してみてください。
財務状況
以下はペイパル・ホールディングスの財務状況などを示したものです。
営業利益
上記はペイパル・ホールディングスの営業利益を示したものです。
営業利益は基本的に企業が本業で得た利益を示したものです。
ペイパル・ホールディングスの場合、全体として増加傾向にあることが見て取れます。
EPS
上記はペイパル・ホールディングスのEPSを示したものです。
EPSは基本的に右肩上がりとなっているかが主な指標とされるものです。
ペイパル・ホールディングスの場合、2022年はやや減少しましたが全体としては増加傾向にあることが見て取れます。
営業利益率
上記はペイパル・ホールディングスの営業利益率を示したものです。
営業利益率は基本的に10%〜15%以上が優良な企業の水準とされるものです。
ペイパル・ホールディングスの場合、2022年は15%を下回りましたが全体として10%以上となっていることが見て取れます。
自己資本比率
上記はペイパル・ホールディングスの自己資本比率を示したものです。
自己資本比率は基本的に企業の安定性を示すもので30%以上がおおよその目安とされています。
ペイパル・ホールディングスの場合、2020年以降は30%を下回っていることが見て取れます。
営業活動によるCF
上記はペイパル・ホールディングスの営業活動によるCFを示したものです。
営業活動によるCFは基本的に企業の手元現金の推移を示したものです。
ペイパル・ホールディングスの場合、やや増加傾向にあることが見て取れます。
事業別収益
以下はペイパル・ホールディングスの事業別収益を示したものです。
収益(百万$) | 2022 | 2021 | 2020 |
取引収益 | 25206 | 23402 | 19918 |
その他 | 2312 | 1969 | 1536 |
合計 | 27518 | 25371 | 21454 |
配当金
現時点でペイパル・ホールディングスは配当金を出していません。
現状、ペイパル・ホールディングスが配当金を出すのはまだ先となりそうです。
コメント・考察
ペイパル・ホールディングスは積極的な買収戦略を取っていて、2019年にはクーポン情報などを提供しているハニー・サイエンス・コーポレーションや2021年には日本の後払いサービスであるPaidyを買収しています。
特に2021年のPaidyの買収では320万のアクティブユーザーが追加され、ペイパルのアクティブユーザーの指標にも2021年からPaidyのユーザーが追加されるようになっています。
買収による増加もあるとはいえ、やはり2021年から2022年にかけてのアクティブユーザーの増加率の大きな低迷は気になるところと言えるでしょう。
また、手数料やセキュリティ、利便性などの観点からGitHubやNetflix、ebayなどと連携が打ち切られることが起きており、収益やアクティブユーザーの獲得には痛手の自体が増えています。
ストライプやブロックなどの新興の決済、Appleやアリペイといった一部地域で拡大する決済など決済市場の競争も熾烈化する中でペイパル・ホールディングスはやや厳しい立ち回りとなっている部分があるのではないでしょうか。
ペイパル・ホールディングスはどこで買える?
以下は米国株を取り扱っている主な日本の証券会社のなかでペイパル・ホールディングスの取り扱い有無を示したものです。
証券会社 | 取扱有無 |
楽天 | 有 |
SBI | 有 |
マネックス | 有 |
DMM | 有 |
松井 | 有 |
PayPay | 有 |
大和 | 有 |
野村 | 有 |
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