今回は米国株の中でもアルベマール(ALB)に関するものとなっています。(https://www.albemarle.com)
本記事はこのような疑問に答えます。
- アルベマールとはどのような企業か?
- アルベマールの将来性は?
- 取り扱っている証券会社や財務状況は?
- アルベマールの配当金は?
アルベマールとは?
アルベマールは、特殊化学製品を展開している企業です。
主な事業はリチウム、臭素、触媒の3つの事業を展開しています。
まず、リチウム事業では主にリチウムベースの材料、例えば炭酸リチウムや水酸化リチウム、塩化リチウムなどの幅広い塩基性リチウム化合物やまた付加価値の高いブチルリチウムや水酸化アルミニウムリチウムを製造しています。
主なリチウムの採掘源としてはチリのサラー・デ・アタカマやネバダ州の池の太陽蒸発を活用した方法と合併会社のウィンドフィールドからの購入となっています。
また、そのほかにもリチウム資源を持つノースカロライナ州のキングスマウンテンの一部鉱物権やアルゼンチンのアントファラにあるリチウム資源にアクセスできる土地が存在します。
次に臭素事業では可燃性材料に添加して使う防火材料や抑制剤といった火災安全用の臭素化合物やその他の特殊化合製品を展開しています。
特殊化学製品には元素臭素やアルキル臭化物、無機臭化物、臭素化物などが含まれ、液体、水銀制御や浄水、農産物の加工、その他産業用に使用されています。
出典:Albemarle Corporation Annual Report
ちなみに上記はアルベマールの主な鉱物採掘、開発場所を示したものです。
そして触媒事業では、異性化及びアキル化触媒といったハイドロプロセッシング触媒(HPC)や流動化触媒分解(FCC)、パフォーマンス触媒溶液(PCS)を展開しています。
HPCは主に石油業界全体で不純物の除去などに使用、FCCは二酸化硫黄の排出削減などに使用されます。
また、PCSは、主に有機金属触媒などが含まれています。
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競合企業
アルベマールの競合企業としてはリチウム化合物を製造、展開しているライベントや中国を拠点にリチウム製造などを行う天斉リチウムが挙げられます。
また、ドイツに拠点を置き、特殊化学製品を展開しているランクセスやドイツに拠点を置く世界最大級の総合化学メーカーであるBASFなどがあります。
- ライベント
- 天斉リチウム
- ランクセス
- BASF
アルベマールの将来性
アルベマールの将来性としては期待できる部分はあると言えるのではないでしょうか。
まず、一つ目の理由としてはリチウムに対する根強い需要が挙げられます。
例えば、アルベマールの2022年時点の売上高の約68%をリチウム事業が占めていますが、リチウムはスマホや電化製品などのリチウムイオン電池から太陽光発電などで必要となるエネルギー貯蔵。
そして、特に電気自動車のバッテリーといった分野でのリチウムイオン電池での需要が急速に増しています。
実際にアルベマールのリチウム事業の売上高は2021年と比較し、2022年は約3.6倍と他の事業と比較して非常に大きな伸びを見せています。
今後も電気自動車やエネルギー貯蔵分野の拡大により、それに伴ってリチウム需要が伸びる可能性は高く、アルベマールの主要分野であるリチウム事業のさらなる伸びに期待ができるのではないでしょうか。
もう一つの理由としてはリチウム生産における大きなシェアが挙げられます。
例えば、2022年の世界のリチウム生産量はUSGSによるとおおよそ13万トンでしたが、アルベマールのリチウム生産量は20222年において3万4000トンとされています。
これは2022年においてみても世界のリチウム生産量の約26%、約4分の1を占めている計算になり、大きなシェアを誇っています。
また、アメリカのノースカロライナのキングスマウンテンではさらにリチウム生産の採掘開発が進められており、今後もリチウム生産の拡大が期待でき、リチウム生産への大きな影響力を維持できる可能性は高いと言えるのではないでしょうか。
これらの点を鑑みるとアルベマールの将来性としては期待できるのではないでしょうか。
アルベマールの今後に対する期待度
以下はアルベマールの今後に対する期待度を示したものです。
ちなみに期待度は高い順に5から1となっています。
ご自身が思うアルベマールの今後に対する期待度にぜひ投票してみてください。
財務状況
以下はアルベマールの財務状況などを示したものとなっています。
営業利益
上記はアルベマールの営業利益を示したものです。
営業利益は基本的に企業が本業で得た利益を示したものです。
アルベマールの場合、2022年に大きく上昇していることがみて取れます。
EPS
上記はアルベマールのEPSを示したものです。
EPSは基本的に右肩上がりとなっているかが主な指標とされるものです。
アルベマールの場合、2022年には大きく上昇していますが、右肩上がりとはなっていません。
営業利益率
上記はアルベマールの営業利益率を示したものです。
営業利益率は基本的に10%〜15%以上が優良な企業の水準とされています。
アルベマールの場合、全体として15%を上回っていることが見て取れます。
自己資本比率
上記はアルベマールの自己資本比率を示したものです。
自己資本比率は基本的に企業の安定性を示すもので30%以上がおおよその目安とされています。
アルベマールの場合、全体として30%を上回っていることが見て取れます。
営業活動によるCF
上記はアルベマールの営業活動によるCFを示したものです。
営業活動によるCFは基本的に企業の手元現金の推移を示したものです。
アルベマールの場合、2021年は減少したものの、2022年は大きく増加していることが見て取れます。
配当性向
上記はアルベマールの配当性向を示したものです。
アルベマールの場合、配当性向は減少していることが見て取れます。
事業別収益
以下はアルベマールの事業別収益を示したものです。
純売上高(千$) | 2022 | 2021 |
リチウム | 5008850 | 1363284 |
臭素 | 1411682 | 1128343 |
触媒 | 899572 | 761235 |
その他 | – | 75095 |
合計 | 7320104 | 3327957 |
配当金
以下はアルベマールの直近10年の年間配当の推移を示したものです。
西暦 | 配当金 |
2022 | 1.6$ |
2021 | 1.56$ |
2020 | 1.56$ |
2019 | 1.48$ |
2018 | 1.36$ |
2017 | 1.28$ |
2016 | 1.2$ |
2015 | 1.16$ |
2014 | 1.12$ |
2013 | 0.96$ |
コメント・考察
アルベマールの収益の主要部分を占めるリチウム事業は今後も電気自動車やエネルギー貯蔵のリチウム需要に支えられて伸びる可能性は高いと思われます。
しかし、電気自動車やエネルギー貯蔵などで使用されるリチウムイオン電池はリチウム不足などから改良、改善も進められています。
実際に従来のリチウムイオン電池と比較してエネルギー密度がより高く、より少量のリチウムで同等の出力を出せる全個体電池やリチウムの代わりにナトリウムを使用したナトリウムイオン電池などが開発されています。
今後こういったリチウム不足に対応し、少量のリチウムで使用可能な電池の開発が進み、普及することで全体としてのリチウム需要が削減される可能性がある点は、リチウム生産者であるアルベマールにとっては懸念材料だと言えるでしょう。
また、アルベマールの2022年時点の純売上高の33%は中国向けの出荷が占めていますが、米国と中国間での関税などの貿易上のリスク。
そして、リチウムの大部分を処理のためにオーストラリアから中国への出荷していますが、これらの国家間リスクなどやや政治上のリスクは気になるところでしょう。
取り扱っている証券会社
以下は米国株を取り扱っている主な日本の証券会社の中でアルベマールの取り扱い有無を示したものです。
証券会社 | 取扱有無 |
楽天 | 有 |
SBI | 有 |
マネックス | 有 |
DMM | 有 |
PayPay | 無 |
野村 | 有 |
大和 | 有 |
野村 | 有 |
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