本記事では、米国株の中でもSpotify(SPOT)に関する記事となっています。
本記事ではこのような疑問に答えます
- Spotifyとはどんな事業を行なっているのか
- Spotifyの財務状況や事業別の収益は?
- 今後の見通しや競合する企業は?
- Spotifyは配当を出しているのか?
Spotifyとは
Spotifyとは音楽のストリーミングサービスを提供している企業です。
184の国と地域で展開していて、Spotifyの音楽ストリーミングサービスは、おおよそ4億人以上のユーザーを抱えています。
Spotifyの音楽ストリーミングサービスの形態としては、おおよそ二つあり無料のサービスとサブスク型のSpotify premiumが存在します。
無料版のサービスに関しては、スキップ制限やシャッフル再生でしか再生できなかったり、広告が何曲かに一回挟まれるなど無料で聴ける反面、制約の多いのが特徴です。
もう一方のSpotify premiumは、月額のサブスク型のサービスで広告無しでその他の制限も無く音楽を聴くことができるサービスとなっています。
このSpotify premiumは、ユーザーの状況に合わせてスタンダード、ファミリー、学生、デュオなどプランが分かれていて、このサブスク利用者は2021年の時点で1億8000万人にのぼっています。
また、Spotifyを利用するユーザーの中で最も多くを占めるのがヨーロッパ地域で月間アクティブユーザーが1億3600万人、2021年の時点で33%を占めています。
加えて、Spotifyが取り扱う音楽はマーリン、ユニバーサルミュージックグループ、ソニーミュージックエンタテインメント、ワーナーミュージックグループが2021年の時点では77%を占めることとなっています。
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競合企業
Spotifyの競合となる企業としては、iphoneやMacなどでよく知られ、音楽ストリーミングサービスではApple musicで競合となるAppleが挙げられます。
また、AWSやeコマースで有名なアマゾンも同じく音楽ストリーミングサービス、アマゾンミュージックを提供しています。
加えて、グーグルが提供するyoutybe music premiumも同じく音楽ストリーミングサービスの競合として挙げられます。
その他の企業としては音楽ストーリーミングのTIDALを買収した(旧スクエア)ブロックや日本の企業が運営するAWAなどがあります。
競合企業
- Apple
- Amazon
- ブロック
- AWA
Spotifyの将来性
Spotifyの関連する音楽ストリーミング市場は、2022年現在から2026年前後までにおおよそ1.3倍まで拡大するとされています。
しかしながら、下記の図からも分かるように2023年の予測としては、直近の音楽ストリーミングサービスの急速な伸びの反動から一時的な市場における売り上げの減少が予測されています。
出典:令和3年 情報通信白書(総務省)大きさのみ加工
また、Spotifyは2021年の世界市場シェアではおおよそ3割で一位、次に10%前後でAppleミュージック、Amazon musicと続く形になっています。
現時点では、Spotifyは巨大テックのGAFAを抑えてストリーミング事業では大きなシェアを維持していますが、GAFA系のストリーミング事業もシェアを伸ばしてきているため、シェアを奪われていく可能性は大いにあり得ると思われます。
例えば、Apple Musicの場合は、iPhoneなどのハードウェアのプラットフォームでの囲い込みができる利点やyoutube musicではSpotifyと同様に広告ありの無料プランがありますが、無料でもフル再生が可能な点。
加えて、Spotifyと違いスキップに制限などの制約が無いなどyoutyube musicの方が使い勝手が良い点などがあります。
また、amazon musicではAmazonでの送料が無料やAmazonプライムビデオが見られるAmazonプライムでの加入によってAmazon musicも無料で利用できるなど他のサービスも受けられるなどの利点があります。
このように現在はシェア1位のSpotifyですがGAFAの音楽ストリーミングサービスと比べてサービス面や他のサービスとの組み合わせでの不利な点など懸案点が残ります。
直近の急速な市場の拡大から2023年では売り上げ市場の一時的な減退が予測されているため、2023年はSpotifyにとって大きな正念場を迎えることになるのではないでしょうか。
財務状況
以下はSpotifyの財務状況などを示したものとなっています。
営業利益
上記はSpotifyの営業利益を示したものとなっています。
Spotifyでは2018年以降、年々マイナス幅が拡大、2020年には大幅なマイナスを抱えていましたが、その後2021年にはうまくプラスに転換しています。
ちなみにSpotifyの企業はヨーロッパの企業であるため、単位が$ではなく、ユーロ(€)となっている点に注意です。
EPS
上記はSpotifyのEPSを示したグラフとなっています。
EPSは主に企業の収益力を表す指標とされています。
SpotifyのEPSに関しては2017年の大幅なマイナスからマイナス幅は縮まっているものの、いまだにマイナスからは抜け出せていないのが現状です。
営業利益率
上記はSpotifyの営業利益率を示したものです。
2018年から2020年にかけて大きくマイナス幅を広げていましたが、2021年には反転、プラスへと転換しています。
今後はおおよそ優良な水準とされる10%以上に持っていけるかが焦点かと思われます。
自己資本比率
上記はSpotifyの自己資本比率を示したものです。
自己資本比率は企業の安定性の指標となるもので、おおよそ30%以上が水準だとされています。
Spotifyの場合、2018年以降下落基調で2021年には水準とされる30%も切ってしまっていることがわかります。
営業活動によるCF
上記はSpotifyの営業活動によるCFを示したものになります。
営業活動によるCFは企業の手元現金の推移を示していて、Spotifyの場合2019年に大幅に増えていますが、その後2020年には半減、2021年には2018年と同じくらいの水準に戻していることが分かります。
事業別収益
百万EUR | 2021 | 2020 | 2019 |
プレミアム | 8460 | 7135 | 6086 |
広告 | 1208 | 745 | 678 |
合計 | 9668 | 7880 | 6764 |
上記は事業別の収益を示したものとなっています。
プレミアムではSpotify premiumの有料会員の収益が含まれていて、広告の方では、無料版での広告収益が含まれています。
全体としてはどちらも増加していますが特にSpotifyの広告収益は2019年から2021年を比較するとおおよそ2倍となっています。
とはいえ全体としてはプレミアムにおける収益が総じて9割近く占めています。
配当金
2022年現在のところSpotifyは配当を行なっていません。
現在の時点では、事業への資金に充てていくのではないかと思われます。
そのため、配当に関してはまだ先になる可能性が高いと言えるでしょう。
コメント・考察
Spotifyの収益の多くは、サブスク収益で比較的安定した収益を生みやすいことは評価できる点だと思います。
また、財務状況も営業利益がマイナスからプラスになっているなど改善が見られます。
しかし、市場シェアは一位をとっているものの、今後のサブスク会員のシェア争いは、ますますGAFA系の音楽ストリーミングサービスとの競合を余儀なくされるうえ、競合とのサービス面での不安が残ります。
また、SpotifyのアプリをAppleのApp Storeでダウンロードした場合、15%から30%分の手数料を納めるいわゆるアップル税とも揶揄されるものを皮肉にもSpotifyの音楽ストリーミング事業では競合であるAppleに払わざるおえない現状があります。
Spotifyの方も欧州委員会などに異議を唱えていますが、現状のところは不明瞭でこの点もSpotifyの売り上げに大きく関わりがあるため注目すべき点と言えるでしょう。
取り扱っている証券会社
下記はSpotifyの取り扱いの有無を示したものとなっています。
証券会社 | 楽天 | sbi | マネックス | DMM | 松井 | Pay Pay | 大和 | 野村 |
取り扱いの有無 | 有 | 有 | 有 | 有 | 有 | 有 | 有 | 有 |
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