本記事は米国株の中でもブンゲ(BG)に関する記事となっています。
本記事はこのような疑問に答えます
- ブンゲとはどのような企業か?
- ブンゲの競合企業は?
- ブンゲの配当金や財務状況は?
- 取り扱っている証券会社は?
ブンゲ (BG)とは
ブンゲ(BG)は穀物や穀物に関連する製品を生産から販売まで垂直統合的に取り扱っている企業です。
主な製品としてはとうもろこしや小麦、砂糖それに加えてゴマや大豆、ナタネなどが原料となる油糧種子などがあります。
基本的にブンゲは穀物の世界的な取引の大半を占める穀物メジャーの一角として知られています。
出典:独立行政法人農畜産業振興機構 ブラジルの穀物生産動向〜堅調な生産と加速化が待たれる輸送インフラ整備〜
基本的には図の上段の資金力のある企業は自身で穀物の売買を行えますが、資金力がない場合、下段のように穀物メジャーに頼らざるを得ない現状があります。
ちなみにABCD’sとされているのが穀物メジャーでそれぞれの頭文字をとったもの、ブンゲ(Bunge)ではBの部分にあたります。
ブンゲの中核となる事業は主に3つあり、一つには農作物の買い付けや保管、輸送、加工、販売などの事業。
2つ目には食用油やショートニング、マヨネーズ、植物油脂などを扱う特殊油、精製事業で大豆油、ひまわり油などを主に原料として使用しています。
その他の原料としてはココナッツ油やパーム油などがありそれを精製、分別してオリーブオイルを加えて精製、また、乳化剤となる成分の製造などを行なっています。
ヨーロッパでは直接消費者向けのブランドとしてひまわり油のoleinaやオリーブオイルのkomiliなどがあり、インドでも消費者向けのブランドとして大豆油のchambal edible oilなどを展開しています。
3つ目には小麦粉やとうもろこしに関連する製品などを扱う製粉事業があります。
製粉事業では主に小麦粉をパンの製造業者や加工業者、とうもろこしの製粉をシリアルや菓子類メーカーなどが主な顧客となっています。
一方で2021年にメキシコの小麦製粉事業は売却を行なっています。
その他の事業としては、石油や天然ガスに関連する企業であるBPとの合同事業でブラジルにおいて砂糖やバイオエネルギーに関連する事業を展開しています。
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競合企業
ブンゲの競合企業としては、まず同じ穀物メジャーとして知られるアーチャー・ダニエルズ・ミッドランドやグレンコア、ルイ・ドレフュス、カーギルが挙げられます。
なかでもアーチャー・ダニエルズ・ミッドランドとカーギルは特に大きな取引量を占めていて、ブンゲにとって強力な競合企業となっています。
また、他にはシンガポールに拠点を置き、パーム油や動物飼料、バイオ燃料などを手掛けるウィルマー・インターナショナルや植物油製品の開発を行うAAKなどが挙げられます。
加えて特に製粉事業ではブラジルやメキシコの企業とも競合となり、小麦製品やとうもろこしに関連する製品を取り扱うM.Dias Brancoや小麦製品を取り扱うモリネラ・デ・メキシコなども競合として挙げられます。
- アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド
- グレンコア
- ルイ・ドレフュス
- カーギル
- ウィルマー・インターナショナル
- AAK
- M.Dias Branco
- モリネラ・デ・メキシコ
ブンゲの将来性
基本的にはブンゲの取り扱う製品は、穀物や植物油など食料や動物用の飼料として使用される場合がほとんどで基本的には人口の増加に需要は比例していきます。
国連が2050年までに97億人前後まで世界人口が増加することを予測しているように下記の農林水産省の食料需要量でも2050年には穀物の需要増加が見て取れます。
出典:「2050年における世界の食料需給見通し」(農林水産省)
また、ブンゲの中でも売上の大きな割合を占める油糧種子も上記のグラフからも分かるように2050年にかけて増加が予測されいて基本的に主要な市場そのものは問題ないように思われます。
一方で穀物の輸送などには石油や多くの電力を必要とするため、石油などの価格が上昇した場合、コストが大きくなり、収益が悪化する可能性があります。
反対に大幅に石油価格などが下がると穀物の輸送等のコスト面では負担が軽くなる一方でブンゲの場合、バイオ燃料に関する部分ではバイオ燃料の価格もつられて下がることになります。
良く言えばバランスの取れた形となっていますが、バイオ燃料自体が占める売上はそこまで大きくないため、どちらかというと石油価格の高騰の方がコスト面での影響が大きいかと思われます。
財務状況
以下はブンゲの財務状況などを示したものとなっています。
営業利益
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上記は、ブンゲの営業利益を示したものとなっています。
営業利益は、企業が本業でどれくらい利益を得ているのかを示したものとなっています。
ブンゲの場合、2019年にはマイナスの値まで減少しましたが、その後は順調に営業利益を伸ばしています。
EPS

上記はブンゲのEPSを示したものとなっています。
基本的にEPSは右肩上がりとなっているかが指標となるものです。
ブンゲでは2015年から2017年は下落傾向にありましたが、その後は持ち直し、順調な右肩上がりとなっていることが分かります。
営業利益率
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上記は、ブンゲの営業利益率を示したものとなっています。
基本的に営業利益率は10%〜15%が優良とされる水準です。
ブンゲの場合、営業利益がマイナスとなっていた2019年を除いても基本的に一桁台の営業利益率であり、ブンゲの従事する事業自体そこまで利益率は高くないことが見て取れます。
自己資本比率
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上記はブンゲの自己資本比率を示したものとなっています。
自己資本比率は基本的に企業の安定性を示すもので、30%以上が基本的な目安だとされています。
ブンゲの場合、2020年を除くと全体としては、30%は超えていることが分かります。
営業活動によるCF
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上記はブンゲの営業活動によるCFを示したものとなっています。
営業活動によるCFはおおよそ企業の手元現金の推移を示したものになります。
ブンゲでは全体としてマイナスが続いており、資金が出ていく状態が続いています。
設備投資などで今後帰ってくる分の支出であれば問題ありませんが、利益としても返ってこず今後もマイナスが続くようであれば、懸念材料だと思われます。
配当性向
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上記はブンゲの配当性向を示したものとなっています。
ブンゲの場合、2017年をピークに徐々に配当性向が下落していますが、2019年には増配幅が減少、2020年では増配が止まっているため、そのことも配当性向の低下に繋がったと考えられます。
事業別収益
純売上高 (百万$) | 2021 | 2020 | 2019 |
農作物製品 | 43636 | 30047 | 28920 |
精製及び特殊油製品 | 13332 | 9599 | 9193 |
小麦製粉製品 | 1326 | 978 | 1057 |
とうもろこし製粉製品 | 583 | 638 | 682 |
砂糖、バイオエネルギー製品 | 270 | 142 | 1288 |
その他 | 5 | 0 | 0 |
合計 | 59152 | 41404 | 41140 |
上記はブンゲの事業別の純売上高を示したものとなっています。
全体としては、純売上高は上昇傾向にありますが、とうもろこし製粉や砂糖、バイオエネルギー製品は2019年以降減少していることが見て取れます。
配当金推移
以下はブンゲの直近10年の年間の配当金の推移を示したものとなっています。
直近では2019年までは増配が続いていましたが、2020年に増配が一時止まっていることが見て取れます。
西暦 | 配当金 |
2021 | 2.05$ |
2020 | 2$ |
2019 | 2$ |
2018 | 1.92$ |
2017 | 1.76$ |
2016 | 1.6$ |
2015 | 1.44$ |
2014 | 1,28$ |
2013 | 1.14$ |
2012 | 1.04$ |
コメント・考察
ブンゲの財務に関して直近では営業活動によるCFがずっとマイナス続きであることがやや気になる点かと思われます。
これに関してはブラジルでエネルギー会社であるBPとの共同事業でバイオエタノールに関連するBP Bunge Bioenergiaなどの事業拡大等を行っている点仕方ない部分とも言えるかもしれません。
仮に問題なく事業が進み、利益として返ってくるのであれば現時点の営業活動によるCFのマイナス部分はそこまで大きな問題点ではないかと思われます。
一方で、うまく利益とならず、営業活動によるCFも改善されずマイナスのままであったとすると資金が流出している状態で負債が増えていく状態であるため、大きな懸念点と言えそうです。
また、営業利益は増えているものの、営業利益率は低く、やはり同じ穀物メジャーとされるアーチャー・ダニエルズ・ミッドランドやカーギルには見劣りする財務や収益状況ではないかと思われます。
取り扱っている証券会社
以下は米国株を取り扱っている日本の証券会社の中でブンゲの取り扱いの有無を示したものとなっています。
証券会社 | 楽天 | sbi | マネックス | Pay Pay | 松井 | DMM | 大和 | 野村 |
取り扱い有無 | 有 | 有 | 有 | 無 | 有 | 有 | 有 | 有 |
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