今回は米国株の中でもニューコア(NUE)に関する記事となっています。
本記事ではこのような疑問に答えます
- ニューコアとはどのような企業か?
- ニューコアの財務状況は?
- ニューコアとの競合になる企業にはどのような企業があるか?
- 配当金の推移は?
ニューコアとは
ニューコアは、鉄鋼や鉄鋼に関連する製品の製造や販売に関わる企業です。
主な事業は3つの事業に分かれていて、製鉄所、鉄鋼製品、原材料事業に分かれています。
製鉄所事業では、腐食がしにくく加工された亜鉛メッキ鋼板や温度によって性質に違いが出る熱間圧延鋼板、冷間圧延鋼板などの鋼板を製造しています。
また、建築用のコンクリートの内部の補強などのために使用される鋼棒や構造用鋼などを製造しています。
2つ目の鉄鋼製品事業では、農業や自動車、機械などに使用される銅管やスプリンクラー配管を取り扱っています。
また、病院やビルショッピングモールなど非住宅での電線の保護のために使用される電線管や地上での太陽光発電施設に使用されるトルクチューブなどを取り扱っています。
3つ目の原材料事業では、コークスを使用せず天然ガスを使用し、作る直接還元鉄の製造、それに関連して天然ガスの採掘事業を行なっています。
出典:国際環境研究所 日本鉄鋼業、世界で最も優れたエネルギー効率を維持
上記は鉄鋼を生産する際の電炉と高炉の違いで基本的にニューコアは電炉での生産が中心です。
電炉のメリットは高炉よりも炭素排出が少なく環境の面などではプラスとなります。
また、金属スクラップの処理やリサイクル事業を行うデビットJ・ジョセフカンパニーを傘下に運営しています。
ニューコアの製品が主に使用されている市場としては今後自動車、建築特に非住宅における建築の市場が主に活用される市場だと予測されていて、2021年にはニューコアの製品の約50%が建築市場で使用されています。
2021年にはハンニバルという流通やeコマースなどに関わる企業をおおよそ3億7000万ドルで買収しており、流通センターやサプライチェーンの効率化を図っています。
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競合企業
ニューコアの展開する鉄鋼に関連する競合企業としては、世界で一番のシェアを誇る中国の宝鋼集団やルクセンブルクに本拠を置き、世界2位のシェアを持つアルセロール・ミッタルが挙げられます。
また、米国企業ではニューコアと同じくアメリカに拠点を置く、USスチールが挙げられます。
日本でも鉄鋼において大きなシェアもつ企業があり、日本製鉄やJFEスチールなどが挙げられます。
- 宝鋼集団
- アルセロールミッタル
- USスチール
- 日本製鉄
- JFEスチール
ニューコアの将来性
ニューコアの関連する鉄鋼における世界の需要は、現在から2028年にかけて微増からほぼ横ばいという見通しが立てられています。
また、鉄鋼の生産においては生産過剰の問題があり、OECDによると鉄鋼による過剰生産能力は約5億トンとされていて、過剰に生産された場合、大きく鉄鋼の値段が下がり、ニューコアにとっても大きな影響があると言えそうです。
そのため、鉄鋼製品の純度の高さの向上や脱炭素という技術や付加価値の高い鉄鋼製品という形でいかに違いを生み出せるかが鍵となりそうです。
一方でニューコアは炭素排出が少なく、屑鉄などを再利用する電炉での鉄鋼生産がメインで高炉と比べると炭素排出の規制や政策では有利な面があります。
しかしながら、電炉は電気を利用しているため、電気代の値上げなどが起きるとコスト面が増加しやすい点が懸念点かと思われます。
加えて、ニューコアで生産される鉄鋼の大きな市場の一つとして自動車市場がありますが、自動車市場では、ガソリン車から電気自動車への転換の流れでより軽量化し、航続距離を伸ばすため鉄鋼からアルミへとの変化が進む可能性があり懸念が残ります。
財務状況
以下はニューコアの財務状況を示したものとなっています。
営業利益
上記はニューコアの営業利益を示したものとなっています。
2018年から2020年にかけては営業利益が減少傾向にありましたが、2021年には反転して大幅な上昇に転じています。
2021年の大幅な増加は非住宅市場での大幅な需要増加などが原因だと見られています。
EPS
上記のグラフはニューコアのEPSを示したものとなっています。
EPSは企業の収益力を示したもので右肩上がりとなっているかが基本的に注目される点です。
ニューコアの場合は、2015年から2018年にかけては右肩上がりとなっていますがその後2020年にかけて下落しています。
また、2021には大幅に上がっているのが分かりますが今後維持、上昇させていけるかが注目点です。
営業利益率
上記のグラフは、ニューコアの営業利益率を示したものとなっています。
基本的に営業利益率は10%〜15%以上が優良な目安とされています。
ニューコアの場合、2019年、2020年には10%以下に落ち込んでしまっていましたが、2021年には営業利益などが大幅に伸びたからか目安となる10%〜15%を大幅に超えるまでに上昇していることが分かります。
自己資本比率
上記はニューコアの自己資本比率を示したものとなっています。
基本的に自己資本比率は企業の安定性を示す指標となっており、30%以上がおおよそ目安とされる数値となっています。
ニューコアの場合おおよそ50%をキープした数値が続いていて、安定性としては評価できる水準なのではないかと思われます。
営業活動によるCF
上記はニューコアの営業活動によるCFを示したものとなっています。
営業活動によるCFは企業の手元現金の推移を示したものとなります。
ニューコアでは2018年から2020年の間においてはそれほど大きな増減はありませんが、2021年にはおおよそ3倍近くまで上昇していることが分かります。
配当性向
上記のグラフは、ニューコアの配当性向を示したものとなっています。
ニューコアの配当性向は、増配しているのにも関わらず、年々下落、2020年にかけてはやや上昇しましたが、2021年には一桁台まで下落しています。
増配しているものの、配当性向に関しては下落している点は、今後の収益状況にもよりますがまだまだ増配していける余地があると言えるのではないかと思います。
事業別収益
純売上高 (千$) | 2021 | 2020 | 2019 |
製鉄所 | 24145396 | 12109307 | 13933950 |
鉄鋼製品 | 9727943 | 6623068 | 6990064 |
原材料 | 2610600 | 1407283 | 1664844 |
合計 | 36483939 | 20139658 | 22588858 |
上記はニューコアの主要事業別の純売上高を示したものとなっています。
3つの事業全てにおいて2019年と比較して2020年はやや減少していますがその後2021年には大幅に上昇していることが分かります。
特に全体として純売上高の半分以上を占める製鉄所事業では2020年と比較して2021年には倍近くまで増加しています。
配当金の推移
以下はニューコアの直近10年の年間配当の推移を示したものです。
直近10年では順調に増配していることが見て取れます。
西暦 | 配当金 |
2021 | 1.715$ |
2020 | 1.6125$ |
2019 | 1.6025$ |
2018 | 1.54$ |
2017 | 1.5125$ |
2016 | 1.5025$ |
2015 | 1.4925$ |
2014 | 1.4825$ |
2013 | 1.4725$ |
2012 | 1.4625$ |
コメント・考察
ニューコアの営業利益など全体として低迷していた時期が見られますが、2021年には大幅に増加するなど財務としては大幅に改善が見られます。
しかし、正直この改善は今のところ2021年の突発的なものなのか、根本的に改善したのかは今後も営業利益などの増加が続くのか今後の動きを見ないとなんとも言えないところだと思います。
また、全体として鉄鋼生産は世界の半分以上を中国が生産していて、ニューコアにとってかなり大きな影響を与えることになりますが、2021年に米国では米国国内で生産された鉄鋼の使用を保証する法案が可決するなどニューコアにとってはメリットの大きい動きも見られます。
このようにニューコアの関連する鉄鋼においては米国国内の法案の動きにも大きな影響があるため、注視する必要があるかと思われます。
(ちなみに今回はニューコアのTwitterの画像は掲載していないのですが、理由としてはニューコアのアカウントらしきものはあるものの、ツイートがされていなかったというのが主な理由です。)
取り扱っている証券会社
以下は米国株を取り扱う主な日本の証券会社でニューコアの取り扱いの有無を示したものです。
証券会社 | sbi | 楽天 | マネックス | DMM | Pay Pay | 松井 | 大和 | 野村 |
取り扱いの有無 | 有 | 有 | 有 | 有 | 無 | 有 | 有 | 有 |
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