今回は米国株の中でもマーベルテクノロジー(MRVL)に関するものとなっています。(https://www.marvell.com)
本記事はこのような疑問に答えます。
- マーベルテクノロジーとはどのような企業か?
- マーベルテクノロジーの将来性は?
- 取り扱っている証券会社や財務状況は?
- マーベルテクノロジーの配当金は?
マーベルテクノロジーとは?
マーベルテクノロジーは、高性能の標準製品及びセミカスタム製品を提供するファブレス半導体サプライヤー企業です。
主な製品としては、ASICや電気光学、イーサネットソリューション、ファイバーチャネル、プロセッサー、ストレージコントローラーを提供しています。
まず、ASICは個々の顧客の要件に応じ、カスタムして特定のアプリケーションに最適化された集積回路で次世代通信事業者やデータセンター、ネットワーキング、機械学習、自動車、航空宇宙、防衛ソリューション向けに提供されています。
次に電気光学製品ではPAMやDSP、レーザードライバ、TIAs、シリコンフォトニクス、DCIソリューションが含まれています。
PAMやDSPはデジタル通信においてデータの変調と処理を組み合わせることで高速のデータ転送を可能にするために使用されます。
レーザードライバやTIAs、シリコンフォトニクスを組み合わせてエンコードや多重化、リタイミングなど幅広い機能を800Gbpsを超える速度で実装する電気光学製品を提供しています。
一方でイーサネットソリューションではコントローラーやネットワークアダプター、物理トランシーバー、スイッチといったものを提供しています。
加えてファイバーチャネルではデータセンターのアプリケーションの高速化や高い復元力を提供し、サーバーの仮想化を向上させるQLogicファイバーチャネルコントローラー及びアダプターを提供しています。
そしてプロセッサーではOCTEONデータプロセッサユニットやOCTEONマルチコアインフラストラクチャプロセッサ、OCTEONFusionファミリを提供、ストレージコントローラーではHDDやSDDコントローラー製品を提供しています。
2023年1月時点でデータセンター向けが収益の41%と最も大きな市場となっています。
また、直近ではASIC事業を展開していたAveraセミコンダクターを買収しています。
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競合企業
マーベルテクノロジーの競合企業としてはマイクロプロセッサやグラフィックスプロセッサの設計や製造を行っているAMDやネットワーキングやワイヤレス通信、エンタープライズストレージ製品などを扱うブロードコムがあります。
また、ネットワーキングやセキュリティ製品などを提供するシスコシステムズやファブレス半導体企業であるAsteraLabsなどがあります。
- AMD
- ブロードコム
- シスコシステムズ
- AsteraLabs
マーベルテクノロジーの将来性
マーベルテクノロジーの将来性としては期待できる部分はあると言えるのではないでしょうか。
まず、一つ目の理由としては直近のAI開発競争の激化が挙げられます。
例えば、AIとデータセンターは密接な関係があり、AIにトレーニングや推論を行わせるためにはデータの膨大な蓄積や前処理などが必要となります。
データセンターはそのAIのトレーニングや推論のための大量のデータの保存や処理するための場所として重要な部分を占めます。
マーベルテクノロジーはAIで重要となるそのデータセンター向けの収益が41%を占めており、AI関連のデータセンター需要の恩恵を受けられる可能性が高いです。
特に現在興隆している生成系AIはデータセンターでの高速接続性が必要とされますが、マーベルテクノロジーはデータセンターでの高速データ転送に関わるPAMやデジタル信号処理でデータのフィルタリングや変換に関わる高性能なDSPなどを提供しています。
その点で直近のAIの開発競争、特に生成系AIの開発競争における流れの中でデータセンターの高速接続や処理に関わる需要にも期待ができると言えるのではないでしょうか。
もう一つの理由としては、マーベルテクノロジーの低コストと柔軟性が挙げられます。
マーベルテクノロジーは製造を専門に行う下請けのファウンドリへの委託モデル、ファブレスモデルで製造を行っています。
そのため、自社の製造施設を運用するのと比べて製造に関する高額な施設投資を削減し、設備の更新や追加費用の負担も削減、マーベルテクノロジーは設計、マーケティングに注力することができます。
また、ファブレスモデルは技術進化やマーケットの需要に応じて最適な製造パートナーに切り替えることができるため、現在の技術や需要の変化に柔軟に対応することができます。
よってマーベルテクノロジーのファブレスモデルの低コストさと柔軟性は現在の変化の大きい状況下においてはメリットと言えるのではないでしょうか。
これらの点を鑑みるとマーベルテクノロジーの将来性としては期待できる部分はあると言えるのではないでしょうか。
マーベルテクノロジーの今後に対する期待度
以下はマーベルテクノロジーの今後に対する期待度を示したものです。
期待度は高い順に5から1となっています。
ご自身が思うマーベルテクノロジーの今後に対する期待度にぜひ投票してみてください。
財務状況
以下はマーベルテクノロジーの財務状況や決算などを示したものです。
営業利益
上記はマーベルテクノロジーの営業利益を示したものです。
営業利益は基本的に企業が本業で得た利益を示したものです。
マーベルテクノロジーの場合、2023年にはプラスに転換していることが見て取れます。
EPS
上記はマーベルテクノロジーのEPSを示したものです。
EPSは基本的に右肩上がりとなっているかが主な指標とされるものです。
マーベルテクノロジーの場合、2019年以降は右肩上がりとなっていることが見て取れます。
営業利益率
上記はマーベルテクノロジーの営業利益率を示したものです。
営業利益率は基本的に10%〜15%以上が優良な企業の水準とされています。
マーベルテクノロジーの場合、2023年にはプラスに転換していますが依然として10%は超えていないことが見て取れます。
自己資本比率
上記はマーベルテクノロジーの自己資本比率を示したものです。
自己資本比率は基本的に企業の安定性を示すもので30%以上が目安とされています。
マーベルテクノロジーの場合、全体として30%を大きく上回っていることが見て取れます。
営業活動によるCF
上記はマーベルテクノロジーの営業活動によるCFを示したものです。
営業活動によるCFは基本的に企業の手元現金の推移を示したものです。
マーベルテクノロジーの場合、増加傾向にあることが見て取れます。
配当性向
上記はマーベルテクノロジーの配当性向を示したものです。
マーベルテクノロジーの場合、2019年以降減少傾向にあることが見て取れます。
事業別収益
以下はマーベルテクノロジーの事業別収益を示したものです。
収益(百万$) | 2023 | 2022 | 2021 |
データセンター | 2408.8 | 1784.7 | 1040.8 |
エンタープライズ ネットワーキング | 1369.2 | 907.7 | 636 |
通信事業者 インフラストラクチャ | 1084 | 820.4 | 599.4 |
消費者 | 701.1 | 700 | 574.7 |
自動車、産業用 | 356.5 | 249.6 | 118 |
合計 | 5919.6 | 4462.4 | 2968.9 |
配当金
以下はマーベルテクノロジーの直近10年の年間配当金の推移を示したものです。
西暦 | 配当金 |
2022 | 0.24$ |
2021 | 0.24$ |
2020 | 0.24$ |
2019 | 0.24$ |
2018 | 0.24$ |
2017 | 0.24$ |
2016 | 0.24$ |
2015 | 0.24$ |
2014 | 0.24$ |
2013 | 0.24$ |
コメント・考察
AIの開発競争でマーベルテクノロジーが一番大きな収益割合を占めるデータセンターでの今後需要の増加を期待できる部分はあると言えるでしょう。
ただし、2023年1月時点のマーベルテクノロジーの製品の出荷における純収益ベースの地域別割合では最も多いのが中国で42%、2番目に多いのがアメリカで12%とされています。
米国は対中半導体規制を進めており、マーベルテクノロジーの出荷先地域の42%を中国で占める部分は気になるところかと思われます。
一方でマーベルテクノロジーの年次報告書によると出荷先が必ずしもその国の企業というわけではなく、中国への出荷は工場や委託先を置く、中国企業以外が多く占めるとされています。
しかし、今後米国の対中半導体規制が強化されてくると中国への出荷割合が大きいマーベルテクノロジーへの影響も避けられない部分があるのではないでしょうか。
取り扱っている証券会社
以下は米国株を取り扱っている主な日本の証券会社の中でマーベルテクノロジーの取り扱い有無を示したものです。
証券会社 | 取扱有無 |
楽天 | 有 |
SBI | 有 |
マネックス | 有 |
DMM | 有 |
PayPay | 無 |
松井 | 有 |
野村 | 有 |
大和 | 有 |
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