本記事は米国株の中でもクアンタムスケープ(QS)に関するものとなっています。(https://www.quantumscape.com)
今回はこのような疑問に答えます。
- クアンタムスケープとはどのような企業か?
- クアンタムスケープの将来性は?
- 取り扱っている証券会社や財務状況は?
- クアンタムスケープの配当金は?
クアンタムスケープとは?
クアンタムスケープは、次世代のリチウムイオン電池を開発している企業です。
開発している次世代リチウムイオン電池は固体電解質を活用した全個体電池であり、従来のリチウムイオン電池が液体電解質を使用している点で違いがあります。
ちなみに下記の画像は左が液体電解質を活用した従来のリチウムイオン電池、右がクアンタムスケープの開発する全固体電池の構造となっています。
出典:QuantumScape Annual Report
クアンタムスケープの開発する全固体電池は、固体電解質を使用することで従来の液体電解質では必要となるグラファイトなどのシリコンアノードホスト材料を取り除くことができ、充電されたときだけアノードを形成することで体積に対するエネルギー密度を向上させています。
フォルクスワーゲンとは強固なパートナーシップを結んでおり、過去10年でクアンタムスケープに10億ドルを超える投資を行い、50対50のジョイントベンチャーの設立も行っています。
また、フォルクスワーゲンとの契約では他の自動車企業と並行して技術、製品開発することは禁じられておらず、他の5つのOEMと顧客サンプリング契約を結んでいます。
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競合企業
クアンタムスケープの競合企業としては、全固体電池の開発を進めているパナソニックや電気自動車に加えて全固体電池の開発も進めているテスラが挙げられます。
また、電気自動車やリチウムイオン電池の開発も行うコンテンポラリーアンペレックスや太陽光発電システムやバッテリーなどの開発を進めているLGエナジーソリューションなどが挙げられます。
- パナソニック
- テスラ
- コンテンポラリーアンペレックス
- LGエナジーソリューション
クアンタムスケープの将来性
クアンタムスケープの将来性としては期待できる部分はあると言えるのではないでしょうか。
理由としてはまず、クアンタムスケープの全固体電池は従来のリチウムイオン電池と比べて利点が多く、EV市場における需要にうまく答えられる可能性が高い点が挙げられます。
例えば、全固体電池ではシリコンアノードホスト材料が除去されることで体積に対するエネルギー密度を向上させることができるため、重量やサイズの軽量化、同じ容量でもEV車の航続距離を伸ばすことが可能となります。
また、全固体電池では従来のリチウムイオン電池と比較してリチウムイオンの移動速度も速くなるため、より急速充電にも向いています。
加えて、全固体電池はシリコンアノードホスト材料が不要となることで、従来の充放電の繰り返しでのシリコンアノードホスト材料の劣化による容量減少やシリコンアノード自体が発火しやすいという問題を解決でき、充電サイクルや安全性の向上にも貢献します。
そのため、これらの全固体電池の利点からEV市場において従来のリチウム電池よりも優位性を取れる可能性は高いと言えるのではないでしょうか。
もう一つの理由としてはEV以外の市場でも需要が広がる可能性が高い点が挙げられます。
現状、クアンタムスケープが注力しているのは電気自動車向けの全固体電池ですが、エネルギー貯蔵や電子機器分野などでの展開も進められています。
実際にクアンタムスケープもエネルギー貯蔵システムを開発しているFluenceEnergyなどとも契約を結び、適応するかなどを図るテスト出荷なども行われています。
よって今後EV市場以外のエネルギー貯蔵や電子機器といった市場でも全固体電池の活用が進む可能性は高いと言えるのではないでしょうか。
これらの点を踏まえるとクアンタムスケープの将来性としては期待できる部分はあると言えるのではないでしょうか。
クアンタムスケープの今後に対する期待度
以下はクアンタムスケープの今後に対する期待度を示したものです。
ちなみに期待度は5から1となっています。
ご自身が思うクアンタムスケープの今後に対する期待度にぜひ投票してみてください。
財務状況
以下はクアンタムスケープの財務状況などを示したものです。
ちなみに営業利益率は収益がないため、現状出すことはできません。
営業利益
上記はクアンタムスケープの営業利益を示したものです。
営業利益は基本的に企業が本業で得た利益を示したものです。
クアンタムスケープの場合、マイナスが拡大傾向にあることが見て取れます。
EPS
上記はクアンタムスケープのEPSを示したものです。
EPSは基本的に右肩上がりとなっているかが主な指標とされるものです。
クアンタムスケープの場合、右肩上がりとはなっていません。
自己資本比率
上記はクアンタムスケープの自己資本比率を示したものです。
自己資本比率は基本的に企業の安定性を示すもので30%以上が目安とされています。
クアンタムスケープの場合、全体として30%を大きく上回っていることが見て取れます。
営業活動によるCF
上記はクアンタムスケープの営業活動によるCFを示したものです。
営業活動によるCFは基本的に企業の手元現金の推移を示したものです。
クアンタムスケープの場合、マイナスが拡大していることが見て取れます。
配当金
現時点でクアンタムスケープは配当金を出していません。
現状、クアンタムスケープが配当金を出すのはまだ先となりそうです。
コメント・考察
全固体電池は、現状依然として発展段階の市場であることは事実だと言えるでしょう。
実際にクアンタムスケープも現状、全固体電池から収益は計上しておらず、依然として収益がない状態が続いています。
一方でフォルクスワーゲンとの緊密な関係は現状収益の無いクアンタムスケープにとって資金面でのある種の後ろ盾となり、資金調達の面ではプラスとなる可能性は高いですし、同時に今後の顧客確保にも繋がっている部分はあると言えるでしょう。
また、全固体電池は従来のリチウムイオン電池と比較して特にEVにメリットが多いとあってテスラやトヨタ、BYDなど自動車メーカー各社も開発を積極的に取り組んでいる部分があります。
その中でフォルクスワーゲンがクアンタムスケープに投資を行い、フォルクスワーゲンの上級管理職がクアンタムスケープの取締役会に加わったり、共同出資を行ったりするのは全固体電池において他の自動車メーカーに先んじようとする必死さも垣間見えるところです。
しかし、その必死さはEVを進める自動車メーカーにとって全固体電池は市場におけるゲームチェンジャーになる可能性の高い技術であり、クアンタムスケープの開発を進める全固体電池の今後の需要の高さを物語るものだと言えるでしょう。
クアンタムスケープの株はどこで買える?
以下は米国株を取り扱っている主な日本の証券会社の中でクアンタムスケープの取り扱い有無を示したものです。
証券会社 | 取扱有無 |
楽天 | 有 |
SBI | 有 |
マネックス | 有 |
DMM | 有 |
PayPay | 無 |
松井 | 有 |
大和 | 有 |
野村 | 無 |
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