本記事は米国株の中でもスカイウォーターテクノロジー(SKYT)に関する内容となっています。(https://www.skywatertechnology.com)
本記事はこのような疑問に答えます
- スカイウォーターテクノロジーとは?
- スカイウォーターテクノロジーの将来性は?
- 取り扱っている証券会社や財務状況は?
- スカイウォーターテクノロジーの配当金は?
スカイウォーターテクノロジーとは?
スカイウォーターテクノロジーは半導体の開発や製造サービスを提供している企業です。
半導体の開発サービスを提供する先端技術サービスと200mmウェハーの量産能力を提供するウェハーサービスの2事業を統合することで商業生産が迅速になることに利点がある下記のようなサービスとしてのテクノロジー(TaaS)を展開しています。
出典:Sky Water Technology,Inc 2022 Annual Report
先端技術サービスではカーボンナノチューブトランジスタや赤外線イメージング、超伝導体、統合フォトニクス、3D統合などに焦点を当てて、高度な技術サービスを提供しつつ顧客と共同して開発を行なっています。
一方でウェハーサービスでは大規模な半導体工場を使用できない事業者へシリコンベースのアナログ及び混合信号やパワーディスクリート、MEMS、耐放射線ICなど向けの半導体製造サービスを提供。
最大15万6000枚のウェハーを製造できる半導体工場をミネソタ州で展開しています。
下記は先端技術サービスとウェハーサービスとの両方で展開するプラットフォーム技術と対応する顧客の業界市場を示したものです。
出典:Sky Water Technology,Inc 2022 Annual Report
特に一番左の航空、防衛業界での対応する技術が最も多いことが見て取れます。
また、主要顧客にはインフィニオンテクノロジーズの子会社であるサイプレス・セミコンダクターがあり、2022年の会計年度の収益の25%を占めていました。
他にも顧客としては量子コンピュータなどを扱うD-Waveシステムズや軍事、航空用の通信システムなどを展開するL3ハリス・テクノロジーズ、防衛に関わる製品を展開するLeonardoDRSなどがあります。
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競合企業
スカイウォーターテクノロジーの競合企業としては、世界最大の半導体の受託製造を行うTSMCや台湾に拠点を置き、半導体の受託製造を行うUMCが挙げられます。
また、CPUや半導体の製造を行なっているインテルや集積回路の製造などを行うバンガード・インターナショナル・セミコンダクターがあります。
その他にもタワーセミコンダクターやXFABなどが挙げられます。
- TSMC
- UMC
- インテル
- バンガード・インターナショナル・セミコンダクター
- タワーセミコンダクター
- XFAB
スカイウォーターテクノロジーの将来性
スカイウォーターテクノロジーの将来性としてはあると言えるのではないでしょうか。
理由としては、まず米国が半導体の国産化を進めている点です。
現状のアメリカの半導体市場は海外依存が高まっており、安全保障上の観点などから懸念が高まっています。
そのため、国産化を進めるために例えば、米国国内の半導体の生産や開発のための520億ドル、日本円で7兆円以上にものぼる補助金を投じる法案が米上院で可決したり、輸出規制強化などが行われています。
この点で米国に拠点を置き、米国国内のミネソタ州などに半導体工場をもつスカイウォーターテクノロジーにとってはこの米国の半導体の国産化の流れはプラスとなる可能性が高いと思われます。
また、スカイウォーターテクノロジーは航空、防衛産業事業向けには米国の国防省から防衛産業向けのための信頼できるサプライヤープログラムにおいて1ATrustedFoundryという信頼できる工場として認定されています。
よって米国での防衛産業における半導体のサプライヤーとしては安定して顧客からの受注ができる可能性が高いかと思われます。
このような点を踏まえるとスカイウォーターテクノロジーの今後としては期待できる部分はあるのではないでしょうか。
財務状況
以下はスカイウォーターテクノロジーの財務状況などを示したものです。
営業利益
上記はスカイウォーターテクノロジーの営業利益を示したものです。
営業利益は基本的に企業が本業で得た利益を示しています。
スカイウォーターテクノロジーの場合、全体としてはマイナスであり、2021年ではマイナス幅が大きく拡大していることが分かります。
EPS
上記はスカイウォーターテクノロジーのEPSを示したものです。
EPSは基本的に右肩上がりとなっているかが主な指標とされています。
スカイウォーターテクノロジーの場合、2021年の4月に上場したばかりでデータが少なくこのような表となっています。
営業利益率
上記はスカイウォーターテクノロジーの営業利益率を示したものです。
営業利益率は基本的に10%〜15%以上が優良な企業の水準とされています。
スカイウォーターテクノロジーの場合、営業利益率は全体としてマイナスであり、2021年では大きくマイナスの値が拡大しています。
自己資本比率
上記はスカイウォーターテクノロジーの自己資本比率を示したものです。
自己資本比率は基本的に企業の安定性を示すものでおおよそ30%以上が目安とされています。
スカイウォーターテクノロジーの場合、2020年は一時的にマイナスまで下落するものの2021年では20%前後まで上昇、しかしながら依然として目安となる30%は下回っていることが分かります。
営業活動によるCF
上記はスカイウォーターテクノロジーの営業活動によるCFを示したものです。
営業活動によるCFは基本的に企業の手元現金の推移を示すものです。
スカイウォーターテクノロジーの場合、2020年には大きく増加したものの、2021年では一転してマイナスとなっていることが見て取れます。
事業別収益
収益(千$) | 2022 | 2021 |
ウェハーサービス | 51157 | 46418 |
先端技術サービス | 111691 | 94020 |
合計 | 162848 | 140438 |
上記はスカイウォーターテクノロジーの事業別収益を示したものです。
事業としては先端技術サービスの方が収益は大きく、全体としては2021年から2022年では収益は増加していることが見て取れます。
配当金
スカイウォーターテクノロジーは現時点では配当金を出していません。
現時点では年次報告書でも収益があればそれを運営のために保持すると明言しており、現状配当金を出すのはまだ先となりそうです。
コメント・考察
スカイウォーターテクノロジーの事業の環境自体は米国が半導体の国産化を進め、大規模な補助金を出すなど追い風となっているかと思います。
特に米国内の防衛産業の半導体サプライチェーンともなれば、積極的な資金的な支援を得られる可能性は高いでしょう。
しかしながら、やはり財務状況としては営業利益のマイナスが拡大していることや営業活動によるCFがマイナスへと転落しているなど気になる部分が多いです。
また、サイプレス・セミコンダクターが2022年の会計年度の収益の25%を占めていたりと比較的少数の顧客が収益の多くを占めている状態でサイプレスのような顧客を失うと大きな損失が生まれる可能性が高いこと。
そして、競合と比較して顧客が相対的に小さな事業者が多く売掛金の回収が困難化する可能性なども考えられます。
やはり全体として競合企業と比べると財務状況や顧客の部分で不安定感があることは否めないでしょう。
しかし、米国国内の半導体メーカーであることかつ特に安全保障の観点から重要視される防衛産業の半導体のサプライチェーンであり、信頼のおける工場として認定されている点で米国が国産化を進める中で積極的な補助金などで保護されていく可能性は高いかと思われます。
取り扱っている証券会社
以下は主な米国株を取り扱っている日本の証券会社の中でスカイウォーターテクノロジーの取扱の有無を示したものです。
証券会社 | 楽天 | sbi | マネックス | DMM | PayPay | 松井 | 大和 | 野村 |
取扱有無 | 有 | 有 | 有 | 無 | 無 | 無 | 有 | 無 |
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