本記事は米国株の中でもベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)に関する記事となっています。
本記事はこのような疑問に答えます
- ベライゾンコミュニケーションズとはどのような事業を行っているのか?
- ベライゾンコミュニケーションズの将来性や財務状況は?
- 取り扱っている証券会社は?
- ベライゾンコミュニケーションズの配当は?
ベライゾン・コミュニケーションズ
ベライゾン・コミュニケーションズは米国を中心に一般消費者や企業向けに有線、無線の通信サービスを提供している企業です。
ベライゾン・コミュニケーションズは主に2事業に分かれていて、コンシューマー事業とビジネス事業に分かれています。
また、収益の多くをコンシューマー事業が占めていて、2021年のおおよそ71%の収益を占めています。
まず、コンシューマー事業ではVerizon Fiosを通して住宅向けの光回線や2021年時点で米国の65都市で利用可能な5G固定回線などを提供しています。
また、MVNOへのネットワークアクセスの販売を行っています。
ちなみにMVNOとは、日本で言うところのmineoや一部auやdocomoから回線を借りている楽天モバイルなどといった自社の基地局を持っていない事業者や自社の基地局では賄いきれず回線を借りている事業者などです。
米国でもそういった事業者が存在し、ベライゾン・コミュニケーションズはそういったMVNOへの回線の販売も行っています。
一方で、ビジネス事業では大企業から中小企業までの事業者向けや教育機関やアメリカの州政府など向けの通信サービスを提供しています。
内容としては、セキュリティサービスや顧客や従業員とのやり取りを行うコミュニケーションツール、IoT製品サービスなどを提供しています。
また、従来の通信契約だと支払い能力などの審査があり、後払いであるが、前払い契約で審査などが要らないプリペイド携帯を扱うTracfoneを2021年に買収。
一方で、ベライゾン・コミュニケーションズのメディア事業で米国版のYahoo!やテッククランチなどのサイトメディア事業が含まれるベライゾンメディアグループを2021年に売却しています。
他方で、直近ではAmazonが低軌道通信衛星の打ち上げを計画しており、Amazonと提携してその低軌道衛星を活用し、今まで回線の届きづらかったエリアのカバーを目指しています。
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競合企業
ベライゾン・コミュニケーションズの競合企業としては、同じく米国を中心に通信事業やメディア、プリペイド携帯事業などを展開するAT&Tが挙げられます。
また、携帯電話の通信事業を行うT-Mobileが挙げられますが、特にT-mobileはテスラのCEOでも知られるイーロン・マスク氏が率いるスペースXとも提携を行っています。
この提携に関しては、スペースXの低軌道衛星であるスターリンクを駆使することで今まで回線が届きづらかったエリアまでカバーすることが狙いだと見られています。
- AT&T
- T-Mobile
ベライゾン・コミュニケーションズの将来性
ベライゾン・コミュニケーションズが主に展開する米国の通信事業では、基本的に上記の競合企業として挙げたAT&T、T-Mobileとベライゾン・コミュニケーションズの3社でシェアを分ける展開が続いています。
また、その中でもベライゾン・コミュニケーションズは、LightReadingによると特にポストペイド携帯市場いわゆる通常の携帯キャリア市場では、2022年でシェア1位とされています。
一方で年々シェアを縮めていくとも見られており、2025年には37%にまでシェアが下がるとされています。
代わりに優勢となっていくと見られているのが、T-mobileで現在注目を浴びている5G回線のカバー率と速度ではベライゾン・コミュニケーションズはT-mobileに遅れをとっているのが現状です。
出典:日経クロステック ベライゾンがひとり負け、米国携帯大手3社の最新契約数をSpeedtest運営社が調査
上記は4G、5Gの性能を比較した図ですが、図からも確かに5Gに関して性能は上がっていますが、それでもやはりT-mobileとは差をつけられていることが分かります。
また、直近では日本でもサービスを提供し始めたSpaceXの低軌道衛星通信は、山間部など光回線を繋ぐのが難しい地域でもカバーし、既存の通信業者の範囲を保管する形でサービスを開始しています。
これで、T-mobileはSpaceXと提携したことでさらに広い地域での範囲にサービスを広げることになっています。
一方でベライゾン・コミュニケーションズはこれに対して同じく低軌道衛星通信事業を進めるAmazonと提携し、対抗策を講じていますが、依然としてプロジェト自体は進んでいるものの、未だサービス自体は開始していません。
この点でもT-mobileに遅れをとっているため、今後米国でのシェア一位を脅かされる可能性は大いに考えられ、厳しい展開が続くことが予想されます。
財務状況
以下は、ベライゾン・コミュニケーションズの財務状況などを示したものとなっています。
営業利益
上記はベライゾン・コミュニケーションズの営業利益を示したものとなっています。
営業利益は基本的に企業が本業でどれくらい利益を得たのかを示すものとなっています。
ベライゾン・コミュニケーションズの場合、やや増減はありますが、上昇傾向にあることが見て取れます。
EPS
上記はベライゾン・コミュニケーションズのEPSを示したものとなっています。
EPSは一般的に右肩上がりとなっているかが主な指標とされています。
ベライゾン・コミュニケーションズの場合、2015年から2017年にかけてはやや減少傾向にありましたがその後は持ち直し、2018年からは上昇傾向に転じています。
営業利益率
上記はベライゾン・コミュニケーションズの営業利益率を示したものとなっています。
営業利益率は一般的に10%〜15%以上が優良とされる水準です。
ベライゾン・コミュニケーションズの場合、基本的には20%を超えており、上昇傾向にもあるため、評価できる水準かと思われます。
自己資本比率
上記はベライゾン・コミュニケーションズの自己資本比率を示したものとなっています。
自己資本比率は基本的に企業の安定性を示すもので30%以上が目安とされています。
ベライゾン・コミュニケーションズの場合上昇傾向にはありますが、30%は下回っており、やや気になる点かと思われます。
営業活動によるCF
上記はベライゾン・コミュニケーションズの営業活動によるCFを示したものとなっています。
営業活動によるCFは一般的に企業の手元現金の推移を示すものです。
ベライゾン・コミュニケーションズの場合、2020年までは上昇傾向にありましたが、2021年にはやや減少しているのが見て取れます。
配当性向
上記はベライゾン・コミュニケーションズの配当性向を示したものとなっています。
ベライゾン・コミュニケーションズの場合、徐々に減少していることが見て取れます。
事業別収益
営業収益 (百万$) | 2021 | 2020 |
コンシューマー事業 | 95300 | 88533 |
ビジネス事業 | 31042 | 30962 |
上記はベライゾン・コミュニケーションズの事業別の営業収益を示したものとなっています。
コンシューマー及びビジネス事業ともに営業収益は2020年と比較して2021年は増加していることが見て取れます。
特にコンシューマー事業での増加が大きい理由としてはワイヤレス機器やプランのより高価なものに移行した数が増加したことやTracfoneの買収したことが主な要因とされています。
配当金
以下はベライゾン・コミュニケーションズの直近10年の年間配当の推移を示したものとなっています。
西暦 | 配当金 |
2021 | 2.5225$ |
2020 | 2.4725$ |
2019 | 2.4225$ |
2018 | 2.3725$ |
2017 | 2.3225$ |
2016 | 2.2725$ |
2015 | 2.215$ |
2014 | 2.14$ |
2013 | 2.075$ |
2012 | 2.015$ |
コメント・考察
ベライゾン・コミニュケーションズは配当性向は低く抑えられつつ増配傾向にあり、利回りも高く高配当株としては人気の高い銘柄です。
一方で、競合企業には押され気味感が否めません。
特にベライゾン・コミュニケーションズを含むアメリカの通信業者大手3社で明暗は分かれている形となっています。
T-Mobileは配当こそ出していませんが、シェアの増加にも勢いがあり、それを反映してか株価伸びも順調で右肩上がりの伸びを続けています。
対して、AT&Tとベライゾン・コミュニケーションズは確かに配当は魅力ですが、正直株価の伸びは鈍化傾向にあります。
また、日本でもソフトバンクや楽天が新規に参入して通信事業のシェアが分かれていっているように米国の市場でも新規の通信事業者が参入してシェアが分かれていく可能性が考えられます。
仮に米国の市場でもこのような新規参入が起こった場合、ただでさえ回線のパフォーマンスで押されT-mobileにシェアを圧迫されつつある中でよりシェアを奪われる可能性が考えられるでしょう。
このまま回線のパフォーマンスをT-mobileに追い越せない場合や新しい事業を開拓できない限りジリ貧が続く可能性が高いです。
総じてベライゾン・コミュニケーションズに関しては新規参入事業者とT-mobileのシェアの動向には十分注意が必要かと思われます。
取り扱っている証券会社
以下は米国株を取り扱っている主な日本の証券会社のなかでベライゾン・コミュニケーションズの取り扱い有無を示したものとなっています。
ベライゾン・コミュニケーションズに関しては全ての証券会社で取り扱いがあることが分かります。
証券会社 | 楽天 | sbi | マネックス | DMM | PayPay | 松井 | 大和 | 野村 |
取り扱い有無 | 有 | 有 | 有 | 有 | 有 | 有 | 有 | 有 |
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