本記事は米国株の中でもドーバー(DOV)に関する記事となっています。
本記事ではこのような疑問に答えます
- ドーバーとはどのような企業か?
- ドーバーの財務状況や将来性は?
- 取り扱っている証券会社や事業別収益は?
- ドーバーの配当金は?
ドーバーとは
ドーバーは、多角的にマイナーな市場で事業を展開している企業です。
事業は主に5つの事業に分かれており、エンジニアリング製品事業、クリーンエネルギー及び燃料供給事業、画像化及び識別事業、ポンプ及びプロセス事業、気候及び持続可能性事業に分かれています。
まず、エンジニアリング製品事業ではゴミ収集車の自動化に関わるHeil、車両用のカメラや衝突回避システムに関わる3rd Eye、ゴミ収集業者向けの管理ソフトウェアに関連するSoft-Pak。
加えて、ゴミの圧縮機などを提供するMarathon Equipment、ゴミ収集業界向けの手押し車や塗料などを入れるペール缶を提供するBayne Thinlinリフレクター、ゴミ収集の自動化システムに関わるCurotoo-Can。
また、ごみ収集車の部品に関わるパーツセントラル。
これら上記7つの合併企業であるEnvironmental Solutions Groupや空気圧や油圧など様々な用途にあった作業台などを固定するクランプを扱うDESTACO、荷物の吊り上げができるウインチやホイストなど提供するTWGがあります。
また、軍事や航空宇宙産業などで使用されるマイクロ波製品を提供するMPG、ホイールサービスや車両リフトなどを展開するVSG、はんだ付け機器や流体ディスペンサなどを扱うOKInternationalがあります。
次にクリーンエネルギー及び燃料供給事業ではガソリンスタンドに設置されている給油機器や給油機器の支払いシステムなどを提供しているDOVER FUELING SOLUTIONS。
LNGや水素、産業用ガスの制御バルブや車用の洗車装置などを提供するOPWがあります。
一方で画像化及び識別事業では、インクジェットプリンタやレーザープリンタなどの印刷機器や印刷用品を扱うmarkem-imajeや産業用印刷機器などを扱うDOVER DIGITAL PRINTINGなど存在します。
また、ポンプ及びプロセス事業ではバイオ医薬品の製造において使用される滅菌コネクタや医療用バルブ、冷却機器などを扱うCPCや産業用のターボ機器を扱うDOVER PRECISION COMPONENTS。
ろ過やポンプ、粉砕機などを扱うMAAG Groupやポンプや制御機器、計量器などを扱うPSGがあります。
最後に気候及び持続可能性事業では、商業用の食品の冷蔵システムや冷暖房機器などを展開するDOVER FOOD RETAILや空気乾燥機などを扱うSWEP、飲料メーカー向けの缶容器の製造機器などを提供するBelvacなどが存在します。
また、2021年の全体の収益の54%と半数以上が米国での収益となっています。
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競合企業
ドーバーの競合企業としてはまず、エンジニアリング製品事業では自動車の修理施設で使用される機器や電動工具などに関連する企業の多くを傘下に置くSnaponやホイール機器や自動車修理などに関連するVontier。
また、廃棄物処理業界向けのソフトウェア製品を提供しているAMCSなどが挙げられます。
次にクリーンエネルギー及び燃料供給事業では、ガソリンの給油機、水素やLNGに関連する機器やタンクなどに関わるタツノや石油業界や運送業界などに業務効率化のソフトウェア製品などを提供するPDIなどがあります。
一方で画像化及び識別事業では、印刷機器などを扱うビデオジェットや産業用の印刷機器など扱うspg printsなどが挙げられます。
ポンプ及びプロセス事業では、流体制御関連製品や自動光学検査システムなどを扱うNordson Corporationやバイオ医薬業界向けのろ過用品や滅菌フィルターなどを扱うメルクミリポアがあります。
加えて、気候及び持続可能性事業では電池や冷蔵庫などでも有名なパナソニックやアルファラバルなどが挙げられます。
- Snapon
- Vontier
- AMCS
- タツノ
- PDI
- ビデオジェット
- spg prints
- Nordson Corporation
- メルクミリポア
- パナソニック
- アルファラバル
ドーバーの将来性
ドーバーはそれぞれマイナーな市場で多様な製品を扱っているため、その市場の規模の推移は大きく異なるでしょう。
例えば、飲料メーカー向けの缶容器の製造に関わる製品事業では、環境の観点からペットボトルからアルミ缶への移行はドーバーにとっては市場の拡大に繋がります。
実際に2021年ではこのアルミ缶への移行はプラスとして働き、気候及び持続可能性事業の増収へと繋がっています。
また、水素やLNG、産業用ガスの制御バルブなども天然ガスなどの需要も今後も増加していくことが見込まれているため、増収につながる可能性が高いと思われます。
一方で、ヨーロッパやカリフォルニア州などがガソリン車の段階的な販売の禁止を採択しているため、現在の状態で進むと今後ガソリン車は減る可能性が高いです。
出典:2050年カーボンニュートラルの実現に向けた検討(経済産業省)大きさのみ加工
上記は各国のガソリン車やハイブリッド、電気自動車の動向を示したものとなっています。
そうなると既存のガソリンスタンドなどの需要は減るため、ドーバーのクリーンエネルギー及び燃料供給事業での給油機器関連の製品の需要は小さくなっていくことが考えられます。
このようにドーバは多様な市場で分散されているため、需要が減少する可能性がある市場もありますが、既存の事業において増加する市場も複数あるため一つの市場に注力している企業よりは事業の転換がしやすい点は利点かと思われます。
財務状況
以下はドーバーの財務状況を示したものとなっています。
営業利益
上記はドーバーの営業利益を示したものとなっています。
営業利益を基本的に企業が本業でどれくらい利益を得たのかを示すものとなっています。
ドーバーの場合は、やや波はあるものの、全体としては上昇傾向にあり、特に2021年には大きく上昇していることが見て取れます。
EPS
上記はドーバーのEPSを示したものとなっています。
EPSは基本的に右肩上がりとなっているかが主な指標です。
ドーバーでは、2015年、2016年は停滞していますが、その後は上昇傾向にあり、2021年は特に上昇幅が大きいことが見て取れます。
営業利益率
上記はドーバーの自己資本比率を示したものとなっています。
営業利益率は一般的に10%〜15%以上が優良とされる水準だと言われています。
ドーバーの場合、基本10%は超えている上に全体としては上昇傾向にあるため、評価できる水準であるといえるのではないでしょうか。
自己資本比率
上記のグラフは、ドーバーの自己資本比率を示したものとなっています。
自己資本比率は基本的に企業の安定性を示すものでおおよそ30%以上が目安だとされています。
ドーバーの場合、30%以上の目安は超えていますし、上昇傾向にあるため、評価できる水準かと思われます。
営業活動によるCF
上記のグラフはドーバーの営業活動によるCFを示したものとなっています。
営業活動によるCFは主に企業の手元現金の推移を示すものです。
ドーバーの場合ではおおよそ増加傾向にあり、営業利益などが一時的に下がった2020年でも前年と比べても増加していることがわかります。
配当性向
上記はドーバーの配当性向を示したものとなっています。
ドーバーの場合2015年、2016年に一時的に上昇が見られますが、その後は30%のラインを推移していて、無理のない配当を維持しているのではないかと思われます。
事業別収益
収益(千$) | 2021 | 2020 | 2019 |
エンジニアリング製品 | 1780827 | 1531277 | 1697557 |
クリーンエネルギー及び燃料供給 | 1648153 | 1476282 | 1620177 |
画像化及び識別 | 1163367 | 1038178 | 1084471 |
ポンプ及びプロセス | 1708634 | 1324003 | 1338528 |
気候及び持続可能性技術 | 1608175 | 1316090 | 1396617 |
上記はドーバーの事業別の収益を示したものとなっています。
事業別で見てみると基本的に収益額は同じくらいの水準となっていますが、やや相対的に画像化及び識別製品事業での収益額は小さいことが見て取れます。
配当金推移
以下はドーバーの直近10年の年間の配当金推移を示したものとなっています。
ドーバーの場合、順調に増配していることが見て取れます。
西暦 | 配当金 |
2021 | 1.99$ |
2020 | 1.97$ |
2019 | 1.94$ |
2018 | 1.9$ |
2017 | 1.82$ |
2016 | 1.72$ |
2015 | 1.64$ |
2014 | 1.55$ |
2013 | 1.45$ |
2012 | 1.33$ |
コメント・考察
ドーバーの気候及び持続可能性事業は、以前は冷凍及び食品機器事業という名前でしたが名称を変更したようです。
飲料メーカー向けの缶容器などの製造があるからなのかは分かりませんが、正直あまり事業内容が変わっていないため、現状は名称だけ変えた感が否めません。
もしかすると、今後事業の名称に関連のある企業などを買収していく方向なのかもしれませんが、今後の事業の再編の動きにも注視が必要かと思われます。
一方でドーバーは連続増配銘柄で有名ですが、連続増配をしていると配当性向が徐々に増加して配当性向が高くなってきている企業が多く存在しています。
ドーバーではその点、2016年はやや高くなっていますがその後は増配をしているにも関わらず配当性向は低く抑えられており、連続増配企業でよくある配当性向が高くなってきているというのが無い点は増配銘柄としても利点かと思われます。
取り扱っている証券会社
以下は米国株を取り扱っている主な日本の証券会社のなかでドーバーの取り扱いの有無を示したものとなっています。
証券会社 | 楽天 | sbi | マネックス | DMM | PayPay | 松井 | 大和 | 野村 |
取り扱い有無 | 有 | 有 | 有 | 有 | 無 | 有 | 有 | 有 |
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