本記事は米国株の中でもインターナショナルペーパー(IP)に関するものとなっています。
本記事ではこのような疑問に答えます
- インターナショナルペーパーとは?
- インターナショナルペーパーの競合にはどんな企業があるか?
- インターナショナルペーパーの将来性は?
- インターナショナルペーパーの取り扱っている証券や財務状況は?
インターナショナルペーパーとは
インターナショナルペーパー(IP)は世界最大の繊維製品やパルプ製品を取り扱っている企業です。
主な事業としては2つの事業が存在し、産業用パッケージング事業とセルロース繊維製品事業に分かれています。
まず、産業用パッケージング事業では、総収益の84%を占めていて、段ボール原紙や飽和クラフト、再生ダンボール原紙などを生産していて、年間におおよそ1300万トン以上の生産力を誇っています。
そして、インターナショナルペーパーの段ボール原紙などのおおよそ80%が北米の工場で段ボールなどに加工されています。
一方でセルロース繊維製品事業では総収益の14%を占めティッシュやおむつ、その他衛生用品に使用されるパルプ。
建築資材や塗料、強化プラスチックなどに使用される特殊パルプなどを取り扱っています。
また、産業用パッケージジング事業ではおおよそ90%、セルロース繊維製品事業ではおおよそ92%が北米地域での売上となっています。
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競合企業
競合企業としては、アリエールなどの洗剤やパンパースのおむつなどで有名ですが、パルプ業でも大きな地位を占めるProcter&Gambleが挙げられます。
また、衛生用品やティッシュ、紙などに使用できるパルプ製品やクラフト紙、ダンボール製品を提供するウェストロックやスマーフィット・カッパ・グループがあります。
他にはフィンランドを拠点に置き、林業や木材、パルプ生産などを行うUPMや中国を拠点に置くナイン・ドラゴンズ・ペーパーホールディングスなどが挙げられます。
日本の企業では紙、木材、ダンボール原紙の生産からエネルギー事業、レジャー施設の運営なども行う日本製紙や段ボールの原紙生産や新聞、印刷用紙等を生産する王子ホールディングスなどがあります。
- Procter&Gamble
- ウェストロック
- スマートフィット・カッパ・グループ
- UPM
- ナイン・ドラゴンズ・ペーパーホールディングス
- 日本製紙
- 王子ホールディングス
インターナショナルペーパーの将来性
インターナショナルペーパーの総収益の8割以上を占める産業用パッケージ事業、特にダンボールの原紙の需要は、ECコマース市場の拡大から大きくなる可能性が高いと思われます。
また、プラスチックの包装は環境の面から批判や削減の取り組みが見られる分、紙資材の代用が進む可能性はインターナショナルペーパーにとってはプラスになるのではないかと思われます。
ただし、近年ナイン・ドラゴンズ・ペーパーホールディングスなどの中国企業の生産が大きく増えてきている点が気になります。
しかし、現状インターナショナルペーパーの9割が米国向けであり、対してナイン・ドラゴンズ・ペーパーホールディングスは中国市場や東南アジア市場がメインで直接の競合は少ないかと思われます。
対して、セルロース繊維事業の方ではProcter&Gambleのような日用品メーカー企業など異業種との競合も見られ、競合が多い点は懸念点かと思われます。
一方でペーパーレス化などの影響は2021年に印刷事業をスピンオフでシルバモコーポレーションとして切り離しているため、今後直接的な影響は少ないかと思われます。
財務状況
以下はインターナショナルペーパーの財務状況などを示したものとなっています。
営業利益
上記はインターナショナルペーパーの営業利益を示したものとなっています。
この営業利益は主に企業が本業でどれくらい利益を得ているのかを示したものとなっています。
インターナショナルの場合、2018年以降徐々に右肩下がりであり、あまり利益が徐々に減ってきていることが分かります。
EPS
上記はインターナショナルペーパーのEPSを示したものとなっています。
EPSは基本的に右肩上がりとなっているかが指標とされるものです。
インターナショナルペーパーの場合、2018年をピークに下落、2021年でやや持ち直すといった展開となっています。
営業利益率
上記はインターナショナルペーパーの営業利益率を示したものとなっています。
基本的に営業利益率は、10%〜15%以上が優良な水準とされる値です。
インターナショナルペーパーの場合、2018年から徐々に下落、2020年には基準とされる水準も下回っており、不安が残る推移となっています。
自己資本比率
上記はインターナショナルペーパーの自己資本比率を示したものとなっています。
自己資本比率は基本的に安定性を示す指標で、おおよそ30%以上が目安とされています。
インターナショナルペーパーでは、2018年以降上昇傾向にあり、2021年には基準となる30%も超える水準にまで上昇しています。
営業活動によるCF
上記はインターナショナルペーパーの営業活動によるCFを示したものとなっています。
営業活動によるCFは企業の手元現金の推移を示したものです。
インターナショナルペーパーの場合、2019年をピークに徐々に下落していることが分かります。
配当性向
上記はインターナショナルペーパーの配当性向を示したものとなっています。
2020年には70%を超える値まで上昇しましたが、これに関しては一時的なものであったようで、基本的には30%〜50%前後の推移となっています。
事業別収益
純売上高 (百万$) | 2021 | 2020 | 2019 |
産業用包装 | 16326 | 14900 | 15260 |
セルロース繊維 | 2732 | 2393 | 2680 |
コーポレート・セグメント間 | 305 | 272 | 377 |
合計 | 19363 | 17565 | 18317 |
上記はインターナショナルペーパーの事業別の純売上高を示したものとなっています。
全体として、2019年から一旦減少、2021年では2019年を超える水準まで純売上高が上昇していることが分かります。
ただし、コーポレート・セグメント間のみ2019年の水準を超えるには至っていないことが分かります。
配当金推移
以下は、インターナショナルペーパーの直近10年の年間配当を示したものとなっています。
直近10年では途切れることなく増配していることが分かります。
西暦 | 配当金 |
2021 | 2$ |
2020 | 2.05$ |
2019 | 2.0125$ |
2018 | 1.925$ |
2017 | 1.8625$ |
2016 | 1.7825$ |
2015 | 1.64$ |
2014 | 1.45$ |
2013 | 1.25$ |
2012 | 1.0875$ |
コメント・考察
インターナショナルペーパーに関しては、営業利益や営業活動によるCFが徐々に減少してきているなど財務の面に関して不安が残る印象です。
ただ、2021年には印刷事業部門をスピンオフ化させています。
この点は、ペーパーレス化や電子化の中で下火の印刷事業を切り離すことで経営の合理化、収益改善という点ではやや切り捨て感は否めませんが妥当な判断だったのではないかと思われます。
一方で、主要事業に関してもダンボールの需要がEコマースなどで高まるとはいえ、そもそもダンボールなどの産業用のパッケージング事業は付加価値がつきにい点は気になる部分です。
正直、ダンボールに関しては内容物がちゃんと守られれば、基本どれでも良い感はありますからね。
加えて、参入障壁もそこまで高くないため、その他の企業が参入してきた場合付加価値がつきにくい分シェアの低下などが起きやすいという点も気になる部分です。
取り扱っている証券会社
下記は米国株を取り扱っている主な日本証券の中でインターナショナルペーパーの取り扱いの有無を示したものとなっています。
証券会社 | 楽天 | sbi | マネックス | DMM | Pay Pay | 松井 | 大和 | 野村 |
取り扱いの有無 | 有 | 有 | 有 | 有 | 無 | 有 | 有 | 有 |
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