今回は米国株の中でも、アメリカン・ウォーター・ワークス(AWK)に関するものとなっています。
本記事ではこのような疑問に答えます
- アメリカン・ウォーター・ワークスとはどんな企業か?
- 競合関係にある企業は?
- 事業の将来性
- 財務状況
- 配当金の推移
- 取り扱っている日本の証券会社
アメリカン・ウォーター・ワークスとは?
アメリカン・ウォーター・ワークスとは、米国で上下水道サービスを提供している企業です。
上下水道サービスは、アメリカのペンシルベニア州やニュージャージー州などの24の州、おおよそ1400万人に提供されています。
2021年時点で売上の上位5州はニュージャージー州、ペンシルベニア州、ミズーリ州、イリノイ州、カリフォルニア州となっています。
また、民間だけでなくアメリカの軍事施設にも水道インフラを提供していて、12の州兵、5つの空軍州兵の施設に提供しています。
2021年にはカリフォルニア州のイースト・パサディナ水道会社を買収し、おおよそ2万にものぼる顧客が増加したとされています。
一方で、2022年にはアメリカンウォーターワークスの子会社であるニューヨークアメリカンウォーターカンパニーをアルゴキンパワーアンドユーティリティーズの子会社に売却しています。
上記は、株価や配当利回り、企業のロゴなどを示したものとなります。
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競合企業は?
アメリカン・ウォーター・ワークスが民間企業であることからも分かるように、アメリカでは日本などとは違い、水道インフラを手掛ける企業は民営です。
そのため、競合企業は同じ国、地域で活動する水道インフラを管理する企業となります。
主に、アメリカン・ウォーター・ワークス以外に水道インフラ事業を行う会社としては、カリフォルニア州を中心に展開するアメリカンステイツ・ウォーターやカリフォルニア、ニューメキシコ、ワシントン、テキサスの水道局を子会社として展開するカリフォルニア・ウォーター・サービスなどが存在します。
また、他にはアルテシアンリソーシズ、SJW、アクアアメリカといった企業も存在します。
競合企業
- アメリカンステイツ・ウォーター
- アクアアメリカ
- SJW
- アルテシアンリソーシズ
- カリフォルニア・ウォーター・サービス
事業の将来性
アメリカン・ウォーター・ワークスが参入する事業は上下水道の水ビジネスに関わる分野ですが、2019年の調査によると主に事業を展開している北米地域では、水ビジネスの市場規模は約20兆円に及びます。
また、この北米における水ビジネスの市場規模は2030年頃には約35兆円規模にまで拡大することが予想されており、事業の分野における将来性に問題はないのではないかと思われます。
ただ、日本などでもたびたび話題になる水道インフラの老朽化という問題がありますが、実はその問題がアメリカでも問題となっています。
そのため、アメリカン・ウォーター・ワークスのIRでも支出の約7割ほどがインフラのメンテナンスに使用されるとされていて、より負担が重くならないかは懸案点と言えるでしょう。
出典:2022 Third Quarter Earnings & 2023 Outlook Conference Call
実際に上記は、今後の大まかなアメリカン・ウォーター・ワークスの資本的支出を示したものです。
水の品質やインフラの拡張などよりも遥かにインフラのメンテナンスの費用の方に支出がかかることが予想されていることからもインフラの老朽化の懸念が分かるのではないでしょうか。
財務状況
以下は財務状況や企業の収益などをグラフにしたものとなっています。
営業利益
上記のグラフは、アメリカン・ウォーター・ワークスの毎年の営業利益を表したグラフとなっています。
営業利益とはそもそも本業でどれくらい利益を得られているのかという指標です。
一般的にはブレが少なく、安定的に増加しているほど評価されます。
アメリカン・ウォーター・ワークスの場合、2018年から2020年にかけては安定的に増加傾向にありましたが、2021年にはやや下落しています。
ブレは少ないですが、2021年にやや減少している点は気になるところです。
EPS
上記のグラフは、EPS(一株あたりの利益)を示したグラフです。
この指標は企業の収益力を示した数値で右肩上がりとなっているかが一般的に注目される点です。
アメリカン・ウォーターワークスでは全体として右肩上がりにあり、収益力は評価できるのではないでしょうか。
営業利益率
上記のグラフは、営業利益率を示したグラフです。
この指標は、どれほど儲かるビジネスやっているのかという指標となります。
基本的には10%〜15%以上が優良と呼ばれる企業の水準だとされています。
アメリカン・ウォーター・ワークスの場合、2021年はやや下がりましたが、全体としては30%以上でかなり高い水準を維持していることが分かります。
自己資本比率
上記の数値を示したグラフは、自己資本比率を示したグラフとなっています。
この指標は、どのくらいが会社自体のお金であるかを示しており、主に企業の安定性を示す指標として使われています。
目安としては、30%以上が理想的だとされていますがアメリカン・ウォーター・ワークスの場合、全体として30%を切っていてやや気になる点です。
営業活動によるCF
上記のグラフは、営業によるCFを表しています。
この営業によるCFは企業における手元現金の推移を示しています。
アメリカン・ウォーター・ワークスの場合全体としてあまり手元現金の推移に変化がないことがわかります。
配当性向
配当性向は、利益のうちどれくらいを配当として株主に還元しているかという指標になります。
この指標は、50%未満がおおよそ健全な数値だと言われていますが、アメリカン・ウォーター・ワークスは全体として50%を超えていることがわかります。
これ以上、配当性向が上がってくると、現在の水準で配当を出しつづけるのは厳しくなってくるのではないでしょうか。
事業別収益
事業別営業収益 (百万$) | 2021 | 2020 | 2019 |
水道事業 | 3142 | 3028 | 2884 |
下水事業 | 208 | 185 | 167 |
その他 | 34 | 42 | 43 |
合計 | 3384 | 3255 | 3094 |
上記はアメリカンウォーターワークスの事業別の営業収益を示したものとなっています。
ちなみにその他には賃貸料や手数料などの収益が含まれています。
その他の収益以外は基本的に増加傾向であり、多くの企業の業績が落ち込んだ2020年でも2019年と比較しても収益が落ち込んでいないことを見ると公益事業の強さが見て取れます。
配当金の推移
下記は直近10年間の配当金の推移を表したものとなっています。
西暦 | 配当金 |
2021 | 2.3575$ |
2020 | 2.105$ |
2019 | 1.955$ |
2018 | 1.78$ |
2017 | 1.62$ |
2016 | 1.465$ |
2015 | 1.33$ |
2014 | 1.21$ |
2013 | 0.84$ |
2012 | 1.21$ |
コメント・考察
アメリカン・ウォーター・ワークスは、水道インフラという1から参入するには比較的ハードルの高い産業であるため、競合企業が増えづらいという点は利点だと思います。
また、上下水道というインフラという生活に必須である事業であるため、必要性がなくなるということも考えづらいでしょう。
ただし、先ほど事業の将来性でも述べたように上下水道のメンテナンスにおける費用は今後も負担として付き纏う点、また米国を主に事業の場としているため、他の国と比べて起きにくいかもしれませんが、インフラという性質上、国営化される可能性がゼロではないという点はやや不安な点と言えるかもしれません。
一方で上下水道のメンテナンスに関して、老朽化への対策が増加したとしてもアメリカ自体の人口は今後も増えることが予測されている分、他の先進諸国よりは比較的対処がしやすいのではないかと思われます。
取り扱っている証券会社は?
下記は米国株を取り扱っている主な日本の証券会社でアメリカン・ウォーター・ワークスを取り扱っているかを示したものとなっています。
ほとんどの証券会社で取り扱っていることが分かるかと思います。
証券会社 | 楽天 | sbi | マネックス | DMM | 松井 | 大和 | 野村 | PayPay |
取り扱い有無 | 有 | 有 | 有 | 有 | 有 | 有 | 有 | 無 |
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